オーストラリア中央銀行声明全文(2022年12月6日)

2022年12月6日

本日12/6(火)に行われたオーストラリア政策金利発表後のオーストラリア中央銀行声明全文です。(ロイターより転載)

 本日開催された理事会では、キャッシュ・レートの目標値を25ベーシスポイント(bp)引き上げ、3.10%とすることを決定した。また為替決済残高の金利を25 bp引き上げ3.00%とした。
 オーストラリアのインフレ率は高すぎる水準にある。10月の消費者物価指数(CPI)は前年比6.9%上昇した。この高インフレは世界的な要因によるところが大きいが、需要に対応できる経済の能力に対し、内需が強いことも一因だ。インフレ率を目標値に戻すには、需要と供給のバランスをより持続可能なものにする必要がある。
 インフレ率は今後数カ月間にわたってさらに上昇し、今年中に約8%のピークに達すると予想される。世界的な供給サイドの問題が解決されつつあることや、最近の一部の商品価格の下落、需要の伸びの鈍化などにより、来年はインフレ率が低下する見込みだ。中期的なインフレ期待は依然としてしっかり固定されており、この状態を維持することが重要だ。豪中銀の中心的な予測では、CPI伸び率は今後2、3年で低下し、2024年には3%をやや上回る程度になるとみられている。
 国内経済は堅調な成長を続けている。今後1年間は世界経済が減速し、サービス支出の回復が一巡し、金融引き締めにより個人消費の伸びが鈍化するため、経済成長は緩やかになると予想される。豪中銀の中心的な予測では23年と24年の成長率は1.5%程度とされている。
 労働市場は依然として逼迫し、多くの企業が人材の確保に苦慮している。10月の失業率は3.4%に低下し、1974年以来の低水準となった。求人倍率と求人広告は最近若干低下しているが、いずれも非常に高水準にある。労働市場の余剰資源が吸収されるにつれて雇用の伸びも鈍化している。賃金は過去数年の低水準から持ち直しつつあり、労働市場の逼迫とインフレ率の上昇により一段の伸びが予想される。物価と賃金のスパイラルを回避することの重要性を踏まえ、理事会は今後とも労働コストの推移と企業の価格設定行動の双方に細心の注意を払っていく。
 金利は5月以降大幅に引き上げられた。これは現在の高インフレ局面を一時的なものにするために必要なものだ。高インフレは経済に打撃を与え、人々の生活をより困難にする。低インフレを再び定着させ、インフレ率を時間とともに2-3%の範囲に戻すことが理事会の優先事項だ。
 金融政策には時間差があり、金利上昇の効果は住宅ローンの支払いにまだ完全には反映されていないことを理事会は認識している。個人消費は今後減速すると予想されるが、時期と程度は不確かだ。もう一つの不確実要素は悪化した世界経済の見通しだ。理事会はインフレ率を目標値に戻し経済を安定させることを目指しているが、こうした不確実性は、さまざまなシナリオがあり得ることを意味する。必要なインフレ率の低下と経済の軟着陸を達成するための道筋は依然として狭い。
 理事会は今後さらに金利を引き上げることを想定しているが、あらかじめ決まった道筋はない。世界経済、個人消費、賃金・物価設定の動向を注視している。将来の利上げの規模とタイミングは引き続き、インフレと労働市場の見通しに関する理事会の評価、および今後入手されるデータによって決定される。理事会はインフレ率を目標に戻すという決意に変わりはなく、そのために必要なことを行う。

 

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