指標の説明

 

FX投資の上で指標のチェックは欠かせません。それぞれの指標の意味を理解しておかないと、ニュースなどを曲解する場合もあります。
ここではアメリカの指標を中心に説明しています。

 

企業在庫 
 小売業・卸売業・製造業の各業種の在庫・企業売上高・在庫比率で、季節調整済みと未調整の両方の数字が発表されます。
・発表機関:米国商務省センサス局
・発表時期:翌々月中旬

 

景気先行指数
 下記の3つの指数が発表されます。
 ・先行指数:景気に先行して動く経済指標による指数
 ・一致指数:景気と呼応して動く経済指標による指数
 ・遅行指数:景気に遅れて動く経済指標による指数
 ・発表機関:全米産業審議会(コンファレンスボード)
 ・発表時期:翌月第3週

 

月次財政収支 
 米国政府の予算案に従い、連邦政府と予算外政府機関の財務状況をまとめたものです。歳入と歳出、黒字/赤字、(修正現金主義による)財源などが発表されます。
・発表機関:米国財務省
・発表時期:翌月第8営業日

 

建設許可件数
 住宅着工件数は該当月に建設された新築住宅戸数で、建設許可件数は建設を始めるために取得される許可証の数です。それぞれは季節調整済みの年率換算ベースで発表されます。発表される統計は、一戸建てと集合住宅に区別されていて、また地域も北東部、中西部、南部、西部に区別されています。
・発表機関:米国商務省
・発表時期:翌月第3週

 

鉱工業生産 
 米国の製造業、鉱業、公共事業(電気・ガス)の生産動向を指数化したものです。米国の製造業の生産活動の状況や設備投資の状況を反映しているため、生産動向を測る上で重要な指標です。総合指数のほかに、産業別と財別のグループ別の数字も公表されて、業種別の細かいデータも公表されるために、個別業種の生産動向を知ることができます。
・発表機関:米連邦準備制度理事会
・発表時期:翌月14-17日

 

小売売上高 
  百貨店を含む小売・サービス業、約5,000社の売上高を集計したものです。耐久財と非耐久財に分かれています。自動車販売・同部品は比重が大きく、個人消費の動向を確認する上でも重要視されていますが、変動が激しいために注意が必要です。 米国のGDPの約70%を占める個人消費の動向を知る上で重要な指標です。
・発表機関:米国商務省センサス局
・発表時期:翌月第2週

 

国際収支 
 米国が外国との間で行なった財貨、サービス、証券等の取引や債権放棄など対外的な経済取引を体系的に把握、記録した統計表です。 項目としては、経常収支は財・サービス、所得収支、経常移転(米国政府による有償武器援助、無償援助)で、投資収支は金融資産の増減に関する取引(その他資本収支を除く)、債権放棄等による資本移動です。
・発表機関:米国商務省経済分析局
・発表時期:3、6、9、12月中旬

 

国内総生産 (GDP:Gross Domestic Product)
 アメリカ国内で生み出された財・サービスの付加価値の合計で、国の経済規模を示す指標です。要素としては消費・投資・輸出・政府支出などがあり、中でも消費はGDPのおよそ2/3を占める重要な要素です。 なお、GDPには名目GDPと実質GDPがあり、実質GDPとは名目GDPから物価変動の影響を除いたものです。
・発表機関:米国商務省経済分析局
・発表時期:速報値 1、4、7、10月
        改定値 2、5、8、11月
        確定値 3、6、9、12月

 

個人所得・支出 
 個人が実際に受け取った所得と支出です。個人所得とは、給与・賃貸収入・配当利子などの合計から社会保険料を控除した後の実際に受け取った所得です。個人支出は、自動車・家電製品などの耐久財、食品・衣料などの非耐久財、外食・旅行などのサービス支出の3つから構成されています。
・発表機関:米国商務省経済分析局
・発表時期:翌月月末、または翌々月初旬

 

シカゴ連銀全米活動指数 
 85種類の月次指標を基にした指標です。85種類の月次指標とは、生産・所得、雇用、労働時間、個人消費、住宅投資、製造業・小売業販売、在庫・受注の分野から構成されています。
 3ヵ月移動平均値がマイナス0.7を下回ると景気後退の可能性を示唆するといわれています。
・発表機関:シカゴ連銀
・発表時期:翌月最終週の木曜日

 

失業率 
 「失業者÷労働力人口×100」で算出されます。16歳以上の男女が調査対象ですが、軍隊従事者、刑務所の服役者、労働意志のない者は含まれません。なお、景気に遅行する指標なので非農業就業者数や新規失業保険申請件数のほうが統計として信頼できるといわれています。
・発表機関:米国労働省労働統計局
・発表機関:原則として翌月第1金曜日

 

週間新規失業保険申請件数 
 失業者が初めて失業保険給付を申請した件数を集計したものです。季節調整、各州別の数字が発表されます。
・発表機関:米国労働省雇用訓練局
・発表時期:毎週木曜日

 

住宅着工件数・許可件数 
 住宅着工件数は該当月に建設された新築住宅戸数で、建設許可件数は建設を始めるために取得される許可証の数です。それぞれは季節調整済みの年率換算ベースで発表されます。発表される統計は、一戸建てと集合住宅に区別されていて、また地域も北東部、中西部、南部、西部に区別されています。
・発表機関:米国商務省
・発表時期:翌月第3週

 

消費者信頼感指数 
 民間の経済研究所である全米産業審議会(コンファレンスボード)が発表するもので、毎月5,000世帯を対象にアンケート形式で行なわれた調査を基にして、消費者のセンチメントを指数化したものです。質問内容は、経済・雇用の2項目からなる現在の状況と、経済・雇用・所得の3項目からなる半年後の予想で、その回答結果を季節調整して指数化しています。現状への評価を示す現況指数と6ヵ月先の景況感を示す期待指数を発表します。
・発表機関:全米産業審議会
・発表時期:当月最終火曜日

 

消費者物価指数(Consumer Price Index) 
 全米都市部の一般消費者世帯が購入する商品やサービスの総合的な価格の動向を指数化したものです。食品・住宅・アパレル・医療費・教育費などの細かい項目があり、金融市場ではコア指数(食品・エネルギー価格除外)が重要視されます。 インフレ率を分析するための最も重要な指標です。
・発表機関:米国労働省労働統計局
・発表時期:翌月第3週
 
 
新築住宅販売件数 
 全米及び4地域別(北東部、中西部、南部、西部)の新築住宅の販売件数、販売価格の数字で、契約者への署名ベースで集計されています。一戸建て、コンドミニアム、共同住宅を含めた数字が発表されます。なお、新築住宅販売とは土地付きの新築住宅販売のことで、保有の土地へ住宅を新築したものは含みません。
・発表機関:米国商務省センサス局
・発表時期:翌月下旬

 

生産者物価指数(PPI:Producer Price Index) 
 米国の製造業者の販売価格の動向を調査・算出した物価指数です。 製造段階別(原材料・中間財・最終財)、品目別、産業別の数値が毎月発表されます。金融市場ではコア指数(食品・エネルギー価格除外)が重要視されます。 生産者物価指数は生産者レベルでのインフレ指標です。なお、日本の卸売物価が輸送費、流通費を含むのに対して、米国生産者物価は出荷時点での価格です。
・発表機関:米国労働省労働統計局
・発表時期:原則として翌月15日前後の木・金曜日

 

製造業新規受注 
 年間の出荷額が5億ドル以上の製造業者からの報告に基づいた出荷、在庫、新規受注、受注金額の業況を示す指標で、耐久財、資本財、非国防財についての数字が算出されます。航空機を除く非国防資本財受注は、設備投資の先行指標として注目されます。
・発表機関:米国商務省センサス局
・発表時期:翌々月第1週

 

設備稼働率 
 製造業、鉱業、公共事業(電気・ガス)の生産能力に対する生産実績の比率で、2002年の平均稼働率を100として算出されます。設備投資やインフレの先行指標で、80%を超えると投資が活発化すると見られています。
・発表機関:連邦準備制度理事会
・発表時期:翌月15日前後

 

耐久財受注 
 製造業(約4000社)の耐久財の出荷・在庫・新規受注・受注残高の数字であり、耐久財受注は設備投資の先行指標と言われています。なお、耐久財とは3年以上の使用に耐えられる消費財のことで、代表的商品は自動車、航空機、家電製品、家具などです。
・発表機関:米国商務省センサス局
・発表時期:翌月25日前後

 

対米証券投資 
 米国への資金の流出入を集計したもので、 海外投資家(政府・民間)からの米国証券(米国債・米国株式・政府機関債・社債等を含む)へ流入した金額と、米国から外国証券投資等により流失した金額です。その全額を示した「ネットフロー合計」と、そのうち1年以上の保有を前提とした米国証券の売買高を集計した「ネット長期フロー」が毎月発表されています。米国の商業銀行、貯蓄金融機関、銀行の持ち株会社、ノンバンク等からデータが集められています。また、国別の数字も発表されます。
・発表機関:米国財務省
・発表時期:翌々月の15日前後

 

中古住宅販売件数 
 全米、及び4地域別(北東部、中西部、南部、西部)の中古一戸建て住宅の販売件数、販売価格、在庫の数字で、契約者への所有権移転完了ベースで集計されています。一戸建て、コンドミニアム、共同住宅を含めた数字が発表されます。米国の中古住宅販売は、新築住宅販売の約6倍の規模のため、住宅市場の動向を確認できる指標です。新築住宅販売よりも先に発表されるので注目度が高いです。
・発表機関:全米不動産業者協会
・発表時期:翌月25日前後

 

ニューヨーク連銀製造業景気指数 
 ニューヨーク州の製造業の景況感や経済活動の現状などを指数化したものです。毎月1日に、ニューヨーク州にある約200社の製造業の経営者に、仕入価格・販売価格・新規受注・出荷・雇用者数などの各項目について、1カ月前との比較及び6カ月後の予想を、「増加」、「変わらず」、「減少」から選択してもらい、「増加」と「減少」の差を指数化したものです。「0」が景況拡大・後退の判断の分岐点となっています。
・発表機関:ニューヨーク連銀
・発表時期:原則として翌月15日

 

非農業部門就業者数 
 全米の企業や政府機関などで非農業部門に属する事業所(約40万社、従業員約4700万人)の給与支払い帳簿を基に集計された就業者数です。失業率、非農業部門就業者数、週労働時間、平均時給、建設業就業者数、製造業就業者数、金融機関就業者数、小売業就業者数など10項目が発表されます。米国の経済指標の中でも、最も重要な指標です。
・発表機関:米国労働省労働統計局
・発表時期:翌月第1金曜日

 

フィラデルフィア連銀景況指数 
 フィラデルフィア地区連銀が管轄する3地域(ペンシルベニア州、ニュージャージー州、デラウエア州)の製造業の景況感や経済活動の現状などを指数化したものです。 同地域の製造業者に、非農業部門就業者数、失業率、労働時間、製造業の新規受注、出荷、在庫、平均賃金、個人所得など11項目について、1カ月前との比較、および6カ月後の予想を、「増加」、「変わらず」、「減少」から選択してもらい、「増加」と「減少」の差を指数化したものです。「0」が景況拡大・後退の判断の分岐点となっています。なお、全国区をカバーするISM製造業景況指数とも相関性が高いです。(70-80%程度)
・発表機関:フィラデルフィア連銀
・発表時期:翌月第3木曜日

 

ベージュブック(米地区連銀経済報告) 
 米地区連銀経済報告(ベージュブック)とは、地区連銀経済報告のことで、報告書の表紙がベージュ色をしているため、ベージュブックと呼ばれています。 12の地区連銀が管轄地域の経済状況を報告する文章のことで、年8回、FOMCが開催される2週間前の水曜日に公表されます。
・発表機関:連邦準備制度理事会
・発表時期:年8回、FOMC開催2週間前の水曜日

 

貿易収支 
 米国の政府・民間が行なった財とサービスの輸出と輸入の差額で、国(地域)別の収支も発表されます。一般に報道されるのは財とサービスの国際収支ベース(季節調整済み)です。貿易収支は、経常収支(貿易収支、サービス収支、所得収支、経常移転収支)の最大の構成要素の一つであり重要な指標です。
・発表機関:米国商務省経済分析局
・発表時期:翌々月20日前後

 

ミシガン大学消費者信頼感指数
 速報は300世帯を対象、確報は500世帯を対象に調査が行われ、1966年を100として景況感・雇用などの項目に対する消費者マインド(楽観または悲観)の回答結果を指数化したものです。 消費者マインドを探ることができる指標です。この指数のうち先行きに関する解答は、コンファレンスボードの景気先行指数に消費者期待指数として採用されています。
・発表機関:ミシガン大学サーベイ・リサーチセンター
・発表時期:速報は当月第2金曜日、確報は当月最終金曜日

 

予算教書 
 大統領予算教書は、どの分野に予算配分すべきかを議会に対し提案するものです。
・発表機関:行政管理予算局
・発表時期:毎年2月の第1月曜日までに議会へ提出

 

ADP雇用統計 
 ADP雇用統計とは、米国の給与計算などの人事関連業務の大手代行会社である、ADP(Automatic Data Processing, Inc.)社が発表する雇用調査レポートです。ADP社の約50万社の顧客、約2400万人の給与計算データを基に、Macroeconomic Advisers, LLC(マクロエコノミック・アドバイザーズ)社が非農業雇用者数などの予測を作成しています。雇用統計に近い算出手法であることや、雇用統計の2日前に発表されることから、たいへん注目度が高い指標です。
・発表機関:オートマチック・データ・プロセッシング
・発表時期:雇用統計公表の2日前

 

FOMC ( Federal Open Market Committee)
 FOMCは、米国の中央銀行にあたるFRB(米連邦準備制度理事会)が開催する委員会で、米国金融政策の最高意思決定機関です。政策金利であるFF(フェデラル・ファンド)金利の誘導目標、景況判断や政策方針等が決定されます。FOMCは12名のメンバーで構成されており、内訳は7名のFRB理事と、ニューヨーク連銀総裁を含む5名の地区連銀総裁です。ニューヨーク連銀総裁は常任で、他の4つのグループ、(1)ボストン、フィラデルフィア、リッチモンド (2)クリーブランド、シカゴ (3)アトランタ、セントルイス、ダラス (4)ミネアポリス、カンザスシティ、サンフランシスコ から1年交替です。開催時期は年8回、約6週間ごとで、必要に応じて随時開催されます。声明文は、FOMC開催最終日に公表されて、議事録はFOMC開催最終日の3週間後に公表されます。
・発表機関:連邦公開市場委員会
・発表時期:年8回、6週間毎の火曜日、もしくは火曜日・水曜日の2日間
        声明文はFOMC開催最終日、議事録はFOMC最終日の3週間後

 

ISM製造業景況指数
 製造業約350社の購買担当役員に、生産、新規受注、在庫、価格、雇用などの項目について、前月と比較し、「良い」、「変わらず」、「悪い」から選択してもらったアンケート調査の結果をパーセンテージで表したものです。米国の製造業の景気転換の先行指標であり、50%を上回ると製造業の景況が良い、50%を下回ると悪い、ということを示唆しています。
・発表機関:全米供給管理協会
・発表時期:原則翌月第1営業日

 

ISM非製造業景況指数
 非製造業約370社の購買担当役員に、新規受注、在庫、価格、雇用などの項目について、前月と比較し、「良い」、「変わらず」、「悪い」から選択してもらったアンケート調査の結果をパーセンテージで表したものです。ISM製造業景況指数同様、50%が景気判断の分岐点となっています。
・発表機関:全米供給管理協会
・発表時期:翌月第3営業日

 

LMCI(労働市場情勢指数:Labor Market Conditions Index) 
 2014年10月6日から発表されることになった新しい指標で、失業率や企業の採用計画など19の指標を基に算出され、労働市場全体の健全性を数値化したものです。 公式統計ではなくFRBの調査分析結果として報告されます。
・発表機関:FRB
・発表時期:毎月の雇用統計発表後、最初の営業日の米東部時間午前10時以降に公表するとしています。

 

S&Pケース・シラー住宅価格指数 
 米国の住宅価格の水準を示す指数で、不動産価格指数、加重総合指数が算出されます。2000年1月を100として指数化しています。 (全米住宅価格指数は2000年第1四半期)主要10都市とは、ボストン、シカゴ、デンバー、ラスベガス、ロサンゼルス、マイアミ、ニューヨーク、サンディエゴ、サンフランシスコ、ワシントン。20都市は、上記10都市に、アトランタ、シャーロット、クリーブランド、ダラス、デトロイト、ミネアポリス、フェニックス、ポートランド、シアトル、タンパを加えた都市です。
・発表機関:スタンダード&プアーズ社
・発表時期:主要10都市・20都市は翌々月最終火曜日、全米住宅価格指数は四半期ごとで2、5、8、11月

 

ここからはアメリカ以外の国の重要な指標です。

Ifo景況感指数(ドイツ) 
 Ifo研究所が旧西ドイツ約7000社の役員を対象に調査・集計を行ったものです。1991年を100とした指数で翌月下旬に発表されます。内容は生産・在庫・受注・価格・雇用の項目に分かれています。ドイツの経済指標のなかで最も注目されています。

 

ZEW景況感指数 (ドイツ) 
 民間調査会社であるZEW(欧州経済センター)が経済アナリストに対し調査したものです。今後6ヶ月の景気見通しに対する予想を回答させ、楽観回答の比率から悲観回答の比率を引いたものです。Ifo指数の1週間前に発表されます。