オーストラリア中央銀行声明全文(2022年9月6日)

2022年9月6日

本日9/6(火)に行われたオーストラリア政策金利発表後のオーストラリア中央銀行声明全文です。(ロイターより転載)

 本日開催された理事会では、キャッシュ・レートの目標値を50ベーシスポイント(bp)引き上げ2.35%とすることを決定した。為替決済残高の金利を50bp引き上げ2.25%とした。

 理事会は経済を安定させながらインフレ率を長期的に2─3%の範囲に戻すことに取り組んでいる。このバランスを達成するための道筋は狭く、世界情勢を中心とした不確実性に覆われている。高インフレによる実質所得への圧迫、大半の国での金融引き締め、ロシアのウクライナ侵攻、中国における新型コロナウイルス封じ込め策や他の課題により、世界経済の成長の見通しは悪化している。

 豪インフレ率は1990年代初頭以来の高水準で、今後数カ月でさらに上昇すると予想される。インフレ率の上昇は多くが世界的な要因によるものだが、国内要因も一部寄与している。旺盛な需要、逼迫した労働市場、経済の一部部門における生産能力の制約により物価上昇圧力が広く存在している。

 インフレ率は年内にピークを迎え、その後2─3%のレンジに向かって再び低下すると予想される。インフレの緩やかな減速予想は、世界的な供給問題の進展、一部の商品価格の最近の下落、金利上昇の影響を反映している。中期的なインフレ期待は依然として適切に抑制されており、この状態を維持することが重要だ。中銀の中心的な予測では、2022年の消費者物価指数(CPI)は7.75%前後、23年は4%強、24年は3%前後となる見込みだ。

 豪経済は堅調な成長を続けており、国民所得は過去最高水準にある交易条件の上昇によって押し上げられている。労働市場は逼迫し、多くの企業が人材の採用に苦慮している。7月の失業率はさらに低下し3.4%と、ほぼ50年ぶりの低水準となった。求人、求人広告ともに非常に高い水準にあり、今後数カ月で失業率が一段と低下することを示唆している。その後は経済成長の鈍化に伴い、失業率は幾分上昇すると予想される。

 賃金はここ数年の低水準から回復し、人件費が急激に増加している地域もある。労働市場の逼迫と上流の物価上昇圧力を考慮し、理事会は今後とも労働コストの推移と企業の価格設定行動の両方に細心の注意を払っていく。

 家計消費の動向は、引き続き重要な不確実性の要因だ。インフレ率の上昇と金利の上昇が家計を圧迫しており、金利上昇の影響が住宅ローンの支払いに完全に反映されるのはこれからだ。消費者信頼感も低下し、住宅価格も一時期の大幅な上昇を経て、ほとんどの市場で下落傾向にある。その一方で人々は仕事を見つけ、労働時間を増やし、より高い賃金を受け取っている。また多くの家計は大きな金融バッファーを築いており、貯蓄率は新型コロナウイルス流行前よりも高い水準で推移している。理事会はこれらの様々な要因がどのようにバランスを取るかに細心の注意を払いながら、適切な金融政策の設定を見極めたいと考えている。

 本日の追加利上げは、インフレ率を目標値に戻し、豪経済においてより持続可能な需給バランスをつくり出すのに寄与するだろう。物価の安定は強い経済と完全雇用の持続のための前提条件だ。理事会は今後数カ月でさらに金利を引き上げると予想しているが、あらかじめ決まった道筋にあるわけではない。将来の利上げの規模とタイミングは、入手されるデータ、インフレと労働市場の見通しに関する理事会の評価によって決まる。豪インフレ率が長期的に目標値に戻ることを確実にするために、理事会は必要なことを行うことを約束する。

 

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