オーストラリア中央銀行声明全文(2022年2月1日)

2022年2月1日

本日2/1(火)に行われたオーストラリア政策金利発表後のオーストラリア中央銀行声明全文です。(ロイターより転載)

 本日開催された理事会で以下の通り決定した。
 (新型コロナの変異株)オミクロン株の流行は経済に影響を与えたが、景気回復を頓挫させることはなかった。オーストラリア経済は引き続き耐久力があり、感染者数が減少するにつれて消費は持ち直すと予想される。
1)キャッシュレートの目標値を10ベーシスポイント(bp)に維持し、為替決済残高の金利を0%に維持する。
2)債券買い入れプログラムの下でのさらなる買い入れを停止し、2月10日に最後の買い入れを実施する。

 (新型コロナの変異株)オミクロン株の流行は経済に影響を与えたが、景気回復を頓挫させることはなかった。オーストラリア経済は引き続き耐久力があり、感染者数が減少するにつれて消費は持ち直すと予想される。RBAの中心的な予測では、GDP成長率は2022年に約4.25%、23年に約2%となっている。この見通しは、家計と企業のバランスシートがおおむね良好な状態にあること、企業投資の増加、多数の建設工事予定、景気支援的なマクロ経済政策設定に支えられている。不確実性の主な要因は引き続きパンデミック(世界的大流行)だ。

 労働市場は力強く回復し、昨年12月の失業率は4.2%に低下した。今年1月の労働時間はオミクロン株の流行により大幅に減少したと推定されるが、求人数が多いことから、向こう数カ月に雇用がさらに増加すると思われる。RBAの中心的な予測では、失業率は年内に4%を下回り、23年末には約3.75%になるとされている。

 賃金の伸びは回復しているが、全体としては、パンデミック前に見られた比較的低い水準に戻ったにすぎない。労働市場が引き締まるにつれ、賃金の伸びはさらに回復すると予想されるが、回復は緩やかなものになるだろう。失業率が歴史的な低水準にまで低下している中での賃金の動向には不確実性がある。

 インフレ率はRBAの予想を上回る速さで上昇しているが、他の多くの国に比べて低い水準にとどまっている。総合消費者物価指数(CPI)の伸び率は3.5%で、石油価格上昇や新築住宅価格の上昇、世界の供給網の混乱により影響を受けている。基調インフレ率は2.6%だ。中心的な予想では、基調インフレ率は今後数四半期でさらに上昇して約3.25%となり、その後は、供給側の問題が解決し消費パターンが正常化するにつれ、23年には約2.75%に低下するとされている。不確実性の要因の一つは、サプライチェーンと流通網の混乱が持続し、それが価格に影響を与え続けることだ。また、消費パターンがどのように変化し、これが需給バランス、ひいては価格にどのような影響を与えるかも不確実だ。

 オーストラリアの金融環境は依然として非常に緩和的だ。RBAの債券買い入れプログラム、タームファンディングファシリティーの下での資金供給、低金利が一体となって、パンデミックの影響から回復しつつあるオーストラリア経済に重要な支援となっている。豪ドルの為替レートは過去1年ほどの安値圏で推移している。住宅価格は力強く上昇しているが、一部の都市で上昇率が緩やかになった。金利が歴史的に低い水準にある中で、貸出基準を維持し、借り手が十分なバッファーを持つことが重要だ。

 債券買い入れプログラムの下での買い入れ終了を決定したのは、他の中央銀行の行動、オーストラリアの債券市場の状態、完全雇用と目標に合致したインフレ率という目標に向けた進捗状況を検討した結果だ。他の多くの中央銀行も、既に債券買い入れプログラムを終了したか、あるいは間もなく終了する予定になっている。より重要なことは、RBAの目標に向け予想以上の速さで進展しており、さらなる進展が見込まれることだ。このような状況を踏まえ、理事会は今が債券買い入れプログラムを終了する適切なタイミングであると判断した。パンデミック開始以来、RBAのバランスシートは3倍以上の約6400億ドルに拡大し、この拡大が引き続き経済を下支えしている。理事会は5月の会合で、満期を迎える債券の償還金再投資問題を検討する予定だ。

 理事会はオーストラリアの完全雇用の回復と目標に合致したインフレ率という目標を達成するため、高度に景気支援的な金融環境を維持することを約束する。債券買い入れプログラム下での買い入れ停止は、短期的な金利の上昇を意味するものではない。これまでにも明言してきたことだが、理事会は実際のインフレ率が持続的に2─3%の目標範囲内に収まるまで、キャッシュレートの引き上げは行わない。インフレ率は上向いているが、目標範囲内に持続的に収まったと結論付けるには時期尚早だ。供給サイドの問題が解決されるにつれ、インフレ率の上昇がどの程度持続するかは不透明だ。賃金の伸びもまだ緩やかで、インフレ率が目標範囲内で持続的に推移するのに見合う伸びとなるには、まだ時間がかかりそうだ。理事会は、オーストラリアのインフレに影響を与える様々な要因がどのように進展するかを監視ししつつ、忍耐強く対応する用意がある。

 

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