オーストラリア中央銀行声明全文(2021年8月3日)

2021年8月3日

本日8/3(火)に行われたオーストラリア政策金利発表後のオーストラリア中央銀行声明全文です。(ロイターより転載)

 本日開催された理事会で以下のとおり決定した。
(1)キャッシュレートの目標を10ベーシスポイント(bp)に維持し、為替決済残高に対する金利を0%に維持する。
(2)2024年4月債の利回り目標10bpを維持する。
(3)9月上旬まで週50億ドルのペースでの国債買い入れを継続し、少なくとも11月中旬まで週40億ドルのペースで購入する。

 オーストラリアの景気回復は以前の予想より強い。ただ、新型コロナウイルスの最近の感染拡大が回復を阻害しており、国内総生産(GDP)は7─9月期に減少すると予想される。これまでの経験を踏まえると、いったん流行が収まると、経済はすぐに立ち直る。現在の感染拡大局面の前には、豪経済にはかなりの勢いがあり、来年には再び力強く成長すると依然見込まれている。経済は、相当な追加的政策支援の恩恵を受けており、ワクチンプログラムも回復を支援することだろう。

 向こう数カ月の経済見通しは不確実で、公衆衛生や感染予防策の状況に左右される。中銀の中心的なシナリオは、経済は2022年にかけて4%強のペースで成長し、2023年には2.5%前後で成長するというものだ。このシナリオは、かなりの比率の国民が今年末までにワクチンを接種し、2022年半ばから国境が段階的に再開されるという条件に基づいている。理事会は他のシナリオも幅広く検討しており、不確実性の主な要因は公衆衛生だ。

 労働市場は引き続き予想を上回る速さで回復しており、6月の失業率は4.9%とさらに低下した。求人は引き続き高水準で、経済の一部では労働力不足も生じている。現在のロックダウン(都市封鎖)により、失業率が足元、一定程度上昇することが予想されるが、労働市場の調整の大半は、労働時間や労働参加の減少を通じたものになるだろう。中心的なシナリオでは、失業率は来年、引き続き低下し、2022年末には4.25%前後、2023年末には4%になる。

 消費者物価指数(CPI)伸び率は4─6月期、前年同期比で3.8%に急上昇したが、新型コロナ関連の価格引き下げが1年前に行われたことを主に反映している。基調インフレ率は1.75%前後と、引き続き低水準にある。今後については、賃金の伸びと基調インフレ率の上昇が見込まれるが、緩やかなものにとどまるだろう。中銀の中心的なシナリオでは、より強い経済が、インフレ目標に沿った賃金と物価の伸びにつながるまでには、一定の年数がかかる。基調インフレ率は、2022年には1.75%、2023年には2.25%と予想される。主な不確実性は、低失業率の下での賃金と物価の動向だ。オーストラリアが4%前後の失業率を維持するのは数十年ぶりのことだ。

 住宅市場は引き続き堅調で、全ての主要市場で価格が上昇している。住宅ローンの伸びは、初めて住宅を購入する顧客を中心とした持ち家に対する強い需要を受けて回復している。また、投資家による借り入れも増加している。住宅価格の上昇と低金利の環境を考えると、中銀は住宅ローンの動向を注意深く監視する。貸出基準を維持することが重要だ。

 国内の金融の状況は引き続き非常に緩和的で、国債利回りは低下。高水準のコモディティー(商品)価格にもかかわらず、為替レートは今年の最安値水準付近にある。豪連邦政府や州政府による最近の財政対応は、短期的に大きな混乱に見舞われている経済にとって歓迎すべき支援をもたらした。

 理事会は、完全雇用の回復と目標に沿ったインフレ率の達成に向けて、非常に緩和的な金融条件を維持することを約束する。低水準のキャッシュレート、債券買い入れプログラム、利回り目標、ターム資金調達ファシリティー(TFF)による資金供給が、一部でロックダウンが導入されている豪経済と、予想される経済成長再開を力強く支援することだろう。

 理事会は、債券購入のペースについて柔軟なアプローチを維持する。経済情勢や公衆衛生、および完全雇用とインフレ目標への想定される進展への影響を踏まえ、プログラムを引き続き見直す。実際のインフレ率が持続的に2─3%の目標範囲内に収まるまで、キャッシュレートの引き上げは行わない。中銀の経済に関する中心的なシナリオは、この条件が2024年までに達成されないというものだ。これが実現するには、労働市場が十分に引き締まり、賃金の伸びが現在の水準から大幅に拡大する必要がある。

 

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