オーストラリア中央銀行声明全文(2021年2月2日)

2021年2月2日

本日2/2(火)に行われたオーストラリア政策金利発表後のオーストラリア中央銀行声明全文です。(ロイターより転載)

 本日開催された理事会では、10ベーシスポイント(bp)のキャッシュレートと3年物国債の利回りの目標、ターム資金調達ファシリティー(TFF)を据え置くことを維持することを決定した。また、現在の債券購入プログラムが4月中旬に終了する際に、豪連邦政府および州・準州が発行する債券を1000億ドル追加で買い入れることも決定した。これらの追加購入は現在のペースで週に50億ドルとなる。
 世界経済の見通しは新型コロナウイルスワクチンの開発により、ここ数カ月で改善してきた。この先の道のりはまだ不安定で不均一な状況が続くと思われるが、持続的な回復の見通しは数カ月前よりも良くなっている。しかし回復は依然として衛生状態と大規模な財政・金融支援に依存している。インフレ率は依然として低く、中銀の目標を下回っている。
 オーストラリアでは景気回復は順調に進んでおり、当初の予想を上回る勢いで推移している。雇用は力強い伸びを示し、失業率は6.6%まで低下した。個人消費は堅調で、ローンの返済を延期していた多くの家庭や企業が返済を再開した。これらの成果はオーストラリアの衛生面での成功と、非常に大規模な財政・金融支援に支えられている。
 回復は今後も続くと予想され、中心的なシナリオでは2021年と22年の国内総生産(GDP)伸び率は3.5%となる見込みだ。GDPは今年半ばまでに19年末の水準に戻ると予想されている。それでも経済はしばらくの間、生産能力がかなり余剰になるとみられる。失業率は過去20年間で最も高い。今後低下すると見込みで、中心的なシナリオでは今年末には6%前後、22年末には5.5%前後になると予想されている。
 賃金と物価の上昇圧力は依然として控えめである。第4・四半期の消費物価指数(CPI)は前年比で0.9%の上昇にとどまり、(賃金指数に基づく)賃金の上昇ペースは過去最も遅い。インフレ率と賃金の上昇率はともに上昇するとみられるが、伸び率は緩やかで、今後数年間はいずれも2%以下にとどまる見込みだ。基調的なインフレ率は2021年には1.25%、22年には1.5%になると予想されている。
 理事会は、基本シナリオに加えて、新型コロナウイルスとワクチン接種に関連した上振れと下振れシナリオを検討した。衛生面での期待外れのニュースは、回復と失業率低下を遅らせることになるだろう。逆に衛生面で一段の前向きな進展があれば、個人消費や投資を押し上げ、現在予想されている以上の成長をもたらす可能性がある。家計や企業が新型コロナ関連支援策の部分的縮小にどのように適応するかや、家計や財務の改善がどの程度消費につながるかが短期的に重要な問題だ。
 金融環境は依然として非常に緩和的で、ほとんどの借り手に対する貸出金利は過去最低水準にある。住宅価格を含む資産価格はおおむね上昇している。持ち家向けの住宅ローンの伸びは最近上向いているが、投資家や企業向けの信用の伸びは依然として弱い。為替レートは上昇しており、近年のレンジの上限に位置している。
 理事会は目標が達成されるまでの間、非常に支援的な金融環境を維持することに引き続き約束している。現在のインフレと雇用の見通しを考えると、これはまだある程度先になる。現在の金融政策は、借り手の資金調達コストを引き下げ、為替レートの低下に寄与し、景気回復に必要な信用供給を行い、家計や企業のバランスシートを支えることで、景気を支援し続けている。債券購入プログラムの延長決定は、こうした金融による下支えの継続を確実なものとする。
 現在までに、TFFの下で公認預金受入金融機関(ADI)向けに860億ドルが提供され、さらに990億ドルが利用可能だ。中銀は債券購入プログラムの下、オーストラリア連邦政府および州・準州が発行する債券を合計で520億ドル購入した。12月初旬以降、3年債利回り目標を実現するための債券購入は行っていない。2020年に入ってからこれまでに、RBAのバランスシートは約1600億ドル増加した。
 インフレ率が目標の2─3%の範囲内に持続的に収まるまでは、キャッシュレートを引き上げない。これを実現するためには、賃金の伸びが現在よりも大幅に向上しなければならない。そのためには、雇用が大幅に増加し、労働市場が引き締まった状態に戻ることが必要となる。理事会はこれらの条件が早くても2024年まで満たされるとは考えていない。

 

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