オーストラリア中央銀行声明全文(2020年2月4日)

2020年2月4日

本日2/4(火)に行われたオーストラリア政策金利発表後のオーストラリア中央銀行声明全文です。(ロイターより転載)

 理事会は本日の会合で、キャッシュレートを0.75%に据え置くことを決定した。

 世界経済の見通しは引き続き妥当だ。2018年に始まった世界の成長鈍化が、終わろうとしている兆候がある。今年と来年の世界経済の成長率は、昨年よりもやや上昇すると予想されており、インフレ率はほとんどの国で低水準にとどまっている。最近の進展にもかかわらず、不確実性の原因の一つは、米国と中国の間の貿易・技術紛争であり、これは国際貿易の流れと投資に影響を与えている。不確実性のもう一つの原因はコロナウイルスであり、これは現在、中国経済に大きな影響を及ぼしている。その影響がどれだけ長く続くかを判断するのは早すぎる。

 各国の金利は非常に低く、昨年後半には多くの中央銀行が金融政策を緩和した。一部の国では、一段の金融緩和が予想されている。長期国債利回りはオーストラリアを含む多くの国で過去最低水準にある。企業・家計ともに借入金利は歴史的な低水準にある。豪ドルは最近の最安値近辺にある。

 中心的なシナリオは、オーストラリア経済が今年2.75%、来年3%成長するというもので、これは過去2年間の成長率を上回る。短期的には、森林火事とコロナウイルスが一時的に国内の成長を圧迫するだろう。家計部門は長期にわたる賃金の伸び悩みや昨年の住宅価格の下落に適応しており、その結果、消費はかなり低迷している。このバランスシートの調整局面を経て、消費の伸びは徐々に持ち直していくとみられる。全般的な見通しは、低金利、最近の税還付、インフラへの継続的な支出、資源部門の明るい見通し、そして今年後半に予想される住宅建設の回復によっても支えられている。

 失業率は昨年12月には5.1%に低下した。この水準は当面は維持され、2021年には5%弱まで徐々に低下するとみられる。賃金の伸びは抑制されており、当面は現在の水準を維持するとみられる。賃金伸び率のさらなる緩やかな上昇は歓迎すべき動きであり、インフレ率を2─3%の目標範囲内に持続的に維持するために必要だ。まとめると、最近の結果は、オーストラリア経済がより低い失業率と不完全就業率を維持できることを示唆している。

 インフレは低水準で安定している。2019年の消費者物価指数(CPI)上昇率は1.8%で、基調インフレ率はこれよりもやや低かった。中心的なシナリオは、CPI上昇率が短期的には2%前後になり、今後数年間はその水準で変動するというものだ。基調インフレ率は今後数年間で2%に向けて徐々に上昇するだろう。

 中古住宅市場では回復の兆しが続いている。これは特にシドニーとメルボルンで顕著だが、一部の他の市場でも価格は上昇している。投資家の信用需要は依然として低迷しているものの、住宅ローンの契約は増加している。住宅ローン金利は記録的な低水準にあり、信用度の高い借り手の獲得競争が激しい。中小企業の信用環境は依然として厳しい。

 昨年の金融緩和は、オーストラリアの雇用と所得の伸びを支え、インフレを中期目標圏に回復させた。キャッシュレートの低下は為替レートを押し下げ、さまざまな業界の活動を支えている。低金利は家計のバランスシート調整を助けている。資産価格も上昇しており、住宅建設などの支出増につながる可能性がある。インフレ目標及び完全雇用に向けての進展が期待されるが、その進展は緩やかなものにとどまると予想される。

 理事会は、すでに金利が非常に低い水準まで低下しており、金融政策の伝達には長くかつ変動的な遅れがあることを踏まえ、今回の会合では、キャッシュレートを据え置くことを決定した。国内外の要因により、オーストラリアが完全雇用を達成し、インフレ目標を達成するには、低金利の長期化が必要と考えるのが妥当だろう。理事会は、労働市場を含め、引き続き注意深く状況を監視する。理事会は、経済の持続的成長、完全雇用及び長期的なインフレ目標の達成を支援するために必要な場合には、金融政策を一層緩和する用意がある。

 

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