オーストラリア中央銀行声明全文(2019年9月3日)

2019年9月3日

本日9/3(火)に行われたオーストラリア政策金利発表後のオーストラリア中央銀行声明全文です。(ロイターより転載)

 政策理事会は本日、政策金利のキャッシュレートを1.0%に据え置くことを決定した。
 リスクは下方に傾いているものの、世界経済の見通しは依然として妥当である。不確実性の増大により企業が支出計画を縮小しており、貿易と技術を巡る紛争が国際貿易の流れと投資に影響を与えてる。同時に、ほとんどの先進国で失業率は低く賃金の伸びは上昇しているが、インフレ率は低いままだ。中国では金融システムのリスクに引き続き取り組む一方で、当局は経済を支えるためのさらなる措置を講じている。
 世界の金融情勢は緩和的な状態が続いている。世界経済の持続的な下振れリスクとインフレ抑制を受けて、多くの中央銀行が今年、金利を引き下げ、さらなる金融緩和が広く期待されている。長期国債の利回りは低下し、オーストラリアを含む多くの国で過去最低水準にある。企業や家計の借入金利も歴史的な低水準にある。豪ドルは最近の最低水準にある。
 上半期のオーストラリアの経済成長率は当初の予想を下回っており、長期わたる所得の低い伸びと住宅価格の下落が個人消費を圧迫している。成長率は今後徐々に上昇し、数年でトレンドに近づくと予想される。この見通しは、低金利、最近の減税、インフラへの継続的な支出、一部の中古住宅市場における安定化の兆候、資源部門の明るい見通しに支えられている。主な国内の不確実性は引き続き消費の見通しだが、家計の可処分所得の増加と住宅市場の安定が消費を支えると予想される。
 ここ数年、雇用は大幅に増加しており、労働力参加率は過去最高を記録している。しかし、失業率はここ数カ月5.2%で横ばいとなっている。賃金の伸びは依然として抑制されており、現在のところ上昇圧力はほとんど見られない。旺盛な労働需要は供給増によって満たされている。賃金上昇率が抑えられていることが全国の公共部門の賃金にも影響を及ぼしている。賃金のさらなる緩やかな上昇は歓迎すべき進展であろう。総合すると、最近の労働市場の状況は、オーストラリア経済がより低い失業率と不完全就業率を維持できることを示唆している。
 インフレ圧力は依然として抑制されており、今後しばらく続く可能性が高い。総合インフレ率も基調インフレ率も2020年が2%弱、2021年は2%をやや上回る水準と予想されている。
 シドニーとメルボルンを中心に中古住宅市場で一段の回復の兆候が見られる。一方、住宅建設は弱まっている。住宅ローンの伸びは低水準にとどまっている。投資家の資金需要は引き続き抑制されており、中小企業を中心とした与信環境は引き続き厳しい状況にある。住宅ローン金利は記録的な低水準にあり、信用度の高い借り手を巡る競争が激化している。
 失業率を引き下げ、インフレ目標に向けたより確実な進展を達成するためには、長期にわたる低金利が求められると予想するのは合理的だ。理事会は労働市場などの動向を引き続き監視し、経済の持続的成長と長期的なインフレ目標の達成を支えるために必要に応じて金融政策をさらに緩和する。

 

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