オーストラリア中央銀行声明全文(2019年6月4日)

2019年6月4日

本日6/4(火)に行われたオーストラリア政策金利発表後のオーストラリア中央銀行声明全文です。(ロイターより転載)

 理事会は本日、政策金利のキャッシュレートを25ベーシスポイント引き下げて1.25%とすることを決定した。雇用成長を支えインフレが中期目標と整合的となるとの確信を高めるため、この決定を行った。
 世界経済の見通しは、貿易摩擦による下振れリスクが高まったものの、引き続き妥当なものとなっている。国際貿易の伸びは依然として弱く、不確実性の増大が多くの国の投資意欲に影響を及ぼしている。中国では、金融システムのリスクに対処しつつ、経済を支援する措置が取られている。ほとんどの先進国では、インフレは抑制されたままで、失業率は低く、賃金の伸びは上向いている。
 世界の金融情勢は緩和的な状態が続いている。長期債利回りとリスクプレミアムは低水準にある。オーストラリアの長期債利回りは歴史的な低さだ。銀行の資金調達コストもさらに低下しており、金融市場のスプレッドは昨年の拡大から完全に反転した。豪ドル相場はここ数カ月、やや下落しており、最近の狭いレンジの下限にある。
 2019年と2020年の豪経済は、輸出価格の上昇などを受けた資源部門の活動の活発化とインフラ投資の増加に支えられて、2.75%程度の成長になるというのが中心シナリオだ。長期にわたる所得の低い伸びと住宅価格の下落の影響を受けている家計消費の見通しが引き続き国内の主な不確実要因だ。家計の可処分所得の増加がある程度見込まれ、これが消費を支えるだろう。
 この1年間、雇用の伸びは堅調で、労働市場への参加は増加しており、求人率は依然として高く、一部の地域では技能不足が報告されている。しかしこうした進展にもかかわらず、最近の労働市場では余剰が一段と活用される状況はほとんど見られない。失業率はここ数カ月、5%前後で安定していたが、4月には5.2%まで上昇した。ここ1年ほどの雇用の力強い伸びは民間部門の賃金上昇につながったが、全体的な賃金上昇率は低いままである。賃金上昇率のさらなる緩やかな上昇が期待され、これは歓迎すべき進展である。総合すると、こうした労働市場の状況は、オーストラリア経済がより低い失業率を維持できることを示唆している。
 最近のインフレの結果は予想よりも低く、経済の大部分でインフレ圧力が抑制されていることを示唆している。しかし、インフレはまだ上昇すると予想されており、ガソリン価格の上昇によって第2・四半期には上昇するだろう。中心的なシナリオとしては、今年の基調インフレ率は1.75%、2020年は2%、その後は若干上昇するとみられている。
 一部の都市では中古住宅価格が大幅に上昇したが、その後は調整が続いている。一部の市場では価格の下落率が鈍化し、オークションの成約率が上昇したものの、状況は依然として軟調だ。住宅ローンの伸びも最近安定した。信用状況は厳しさを増し、投資家の信用需要はしばらく低迷している。住宅ローン金利は低水準で推移しており、信用度の高い借り手を巡る競争が激化している。
 本日のキャッシュレートを引き下げ決定は、経済の余剰をさら活用する一助になるだろう。またより迅速な失業削減を支援し、インフレ目標に向けた進展をより確実なものにする。理事会は労働市場の動向を引き続き注意深く監視し、経済の持続的成長と長期的なインフレ目標の達成を支えるために金融政策を調整する。

 

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