オーストラリア中央銀行声明全文(2019年5月7日)

2019年5月7日

本日5/7(火)に行われたオーストラリア政策金利発表後のオーストラリア中央銀行声明全文です。(時事通信より転載)

 理事会は本日の会合でキャッシュレート(政策金利)を1.50%に据え置くことを決めた。
 世界経済の見通しは引き続きまずまずの状況だが、リスクは下向きに傾いた。多くの国で国際貿易の伸びは低下し、投資意欲は軟化した。中国では当局が景気を支援する手段を講じる一方、金融システムのリスクに取り組んだ。ほとんどの先進国経済では物価は低いままで、失業率は低く、賃金の伸びは上向いた。
 世界の金融状況は依然として緩和的だ。長期債の利回りは低く、低い物価見通しと一致しており、株式市場は強かった。リスクプレミアムは依然として低い。豪州では長期債利回りは歴史的に低い水準にあり、短期の銀行調達コストは一段と低下した。一部の貸出金利は最近低下したが、平均的な住宅ローン金利の支払いは変わっていない。オーストラリア・ドルは最近の狭いレンジの下限にある。
 豪州経済の中心的なシナリオは、2019、20両年とも2.75%程度で成長することだ。この見通しはインフラ投資の増加や資源部門の活発化に支援されており、これは豪州の輸出物価の上昇に部分的に対応している。主要な国内の不確実性は引き続き家計の消費見通しであり、長引く所得の低い伸びや住宅価格の下落の影響を受けている。家計の可処分所得の伸びが予想されており、これが消費を支援するはずだ。
 豪州の労働市場は強いままだ。雇用の大幅な増加があり、求人率も依然高く、一部の領域では熟練者の不足が報告されている。こうした良好な動向にもかかわらず、過去6カ月間に失業率の減少に向けてほとんど進展がなかった。失業率はこの期間中、おおむね5%程度で推移し、来年にかけてこの水準にとどまる見込み。21年には4.75%とわずかに低下する見込み。過去1年間の力強い雇用の伸びが幾分かの賃金上昇につながり、歓迎すべき進展だ。さらなる賃金の伸びが予想されているが、これは緩やかな過程となる公算が大きい。
 一部の都市で大幅に値上がりした後、既存の住宅市場の調整が続いている。状況は依然として弱く、家賃の伸びも低いままだ。一部の借り手の信用状況はこの1年程度でやや逼迫(ひっぱく)した。同時に、住宅市場の投資家による信用需要は大きく減速し、住宅市場の勢いが変わった。居住向けの信用の伸びは過去1年間で鈍化した。住宅ローン金利は依然として低く、高い信用力を持つ借り手をめぐる競争は激しい。
 1~3月期の物価統計は予想を大きく下回り、経済の大半で物価を抑制する圧力を示唆している。この1年間の物価上昇率は1.3%で、基調的なベースでは1.6%だった。住宅関連コストの低下などがこうした結果に寄与した。今後を見通せば、物価は上向く見通しだが、緩やかなペースとなる。中心的なシナリオは基調的な物価の伸びが今年は1.75%、来年は2%になり、その後はやや高まることだ。名目的には、物価は今年が2%程度となるが、最近のガソリン価格の上昇が押し上げる見込み。
 理事会は、今会合で政策姿勢を維持することが適切と判断した、経済には依然として余剰能力があり、物価が目標と一致するためには労働市場の一段の改善が必要となる公算が大きい。こうした判断を踏まえ、理事会は向こう数会合で労働市場の動向に注視するだろう。

 

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