オーストラリア中央銀行声明全文(2019年2月5日)

2019年2月5日

本日2/5(火)に行われたオーストラリア政策金利発表後のオーストラリア中央銀行声明全文です。(ロイターより転載)

 政策理事会は今日、政策金利のキャッシュレートを1.50%に据え置くことを決定した。

 2018年の世界経済の成長は年後半に減速したものの、トレンドを上回った。大半の先進国・地域の失業率は低水準だ。世界の成長見通しは下振れリスクが拡大したものの、引き続きまずまずとなっている。貿易を巡る緊張が世界貿易や一部の投資決定に影響を及ぼしている。中国経済は減速が続き、当局は金融セクターのリスクに引き続き細心の注意を払いつつ政策を緩和している。原油価格の下落を受け、世界的にインフレ率は低下した。ただ、複数の国・地域でコアインフレ率は上昇した。

 先進国の金融状況は引き続き緩和的だが、2018年終盤に引き締まった。株価は下落し、信用スプレッドは拡大したが、こうした動きはその後、一部反転した。市場参加者はもはや米国における一段の金融引き締めを予想していない。政府債利回りはオーストラリアを含む大半の国で低下した。豪ドルは最近の狭いレンジ内にとどまっている。豪州の交易条件はここ数年で改善したが、時間とともに悪化する見通し。

 中心的なシナリオでは、豪経済は今年約3%成長し、2020年は資源輸出の伸びの鈍化により19年を若干下回る成長となる見込み。成長見通しは企業投資の増加や公共インフラ投資の増加に支えられている。世界の状況と同様に、下振れリスクが幾分拡大した。7─9月四半期の国内総生産(GDP)成長率は予想を下回った。これは家計の消費や所得の緩慢な伸びが主な要因となった。ただ、消費に関するデータは不安定で、最近の数四半期は改定されている。家計所得の伸びはここ数年、低水準となっているが、加速して家計支出を下支えするとみられる。家計支出の見通しや一部の都市における住宅価格下落の影響が、引き続き国内の主な不透明要因となっている。

 シドニーとメルボルンの住宅市場は、これより先の大幅な価格上昇を経て、調整局面にある。両市場で状況は一段と弱まり、家賃上昇率は依然として低い。一部の借り手向けの信用状況は以前よりもタイトになっている。それと同時に、住宅市場の力学が変化する中、住宅市場の投資家の信用需要は著しく鈍化している。持ち家に住む人向けの信用の伸びは年率5.5%のペースに鈍化している。住宅ローン金利は引き続き低水準で、信用度の高い借り手を巡る競争は激しい。

 労働市場は引き続き力強く、失業率は5%となっている。失業率は今後数年間で4.75%にさらに低下することが見込まれる。求人率は高水準で、一部分野からは技術者不足が報告されている。労働市場は力強さを増しており、賃金の伸びが幾分上向いている。これは歓迎すべき動向だ。労働市場の改善によって賃金の伸びはいずれ、さらに幾分押し上げられるはずだが、これは依然として緩やかなプロセスとなる見通しだ。

 インフレ率は引き続き低水準で安定している。2018年の消費者物価指数(CPI)上昇率は1.8%、基調インフレ率は1.75%だった。基調インフレ率は今後数年間で上昇が見込まれる。上昇は緩やかになり、これまでの想定よりもやや長い時間がかかる可能性が高い。基調インフレ率は今年は2%となり、2020年には2.25%になるというのが中心的なシナリオだ。ガソリン価格の下落により、総合インフレ率は短期的に低下することが見込まれる。

 低水準の金利が引き続き豪経済を支援している。失業率のさらなる低下とインフレ率の目標水準への回帰が予想されている。ただ、そのペースは緩やかである可能性が高い。入手可能な情報を考慮した上で、理事会は今回の会合で金融政策スタンスを維持することが、持続可能な経済成長と、時間をかけたインフレ目標の達成と整合的と判断した。

 

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