オーストラリア中央銀行声明全文(2018年4月3日)

2018年4月3日

本日4/3(火)に行われたオーストラリア政策金利発表後のオーストラリア中央銀行声明全文です。(時事通信より転載)

 理事会は本日の会合でキャッシュレート(政策金利)を1.50%で据え置くことを決めた。
 世界経済は過去1年間、強まった。多くの先進国はトレンド(長期平均)を上回るペースで成長し、失業率は低い。中国経済は引き続き堅調に成長し、当局は金融部門のリスクや成長の持続性への注意力を高めている。世界的には、インフレ率は依然として低い。ただ、一部経済ではインフレ率は高まり、逼迫(ひっぱく)した労働市場を踏まえると一段と高まる見通し。世界経済の状況が改善したことで、多くの中銀は一部の金融刺激策を取りやめ、こうした方向へのさらなる手段が予想される。
 長期債の利回りはこの半年間で上昇したが、依然として低い。株式市場の値幅変動は昨年の非常に低い水準からは高まった。米国の国際貿易政策の方向性をめぐる懸念が一因だ。信用スプレッドはやや広がったが、依然として低い。金融状況は全般的に拡張的なままだ。ただ、米ドルの短期金融市場はやや逼迫し、米ドルの短期金利はフェデラルファンド(FF)金利上昇以外の理由で上昇している。これが、オーストラリアなど米国以外の数カ国の短期金利上昇につながった。
 オーストラリアが輸出する多数のコモディティー(商品)価格は最近下落したが、過去1年程度のレンジ内にある。オーストラリアの交易条件は向こう数年かけて低下するが、比較的高水準のままとなる見通し。
 オーストラリア経済は2017年に2.4%成長した。中銀の中心的なシナリオでは、18年の成長が17年よりも高くなる予想に変わりがない。企業の景況感は良好で、非鉱業部門の設備投資は増えている。高水準の公共インフラ投資は経済を支えている。輸出は17年末に一時的に弱かったが、力強い成長が予想される。継続的な不透明要因の一つは家計消費の見通しだが、消費の伸びは17年終盤に上向いた。家計の収入は緩やかな伸びで債務水準は高い。
 雇用はこの1年間で力強い伸びとなった。就業者が全ての州で伸びている。就業者の力強い伸びは、特に女性や、より年齢の高い人々の労働参加率の著しい伸びを伴っている。失業率は過去1年間で低下したが、過去半年間は5.5%前後で推移している。先行きを示すいくつかの指標は引き続き雇用の堅調な伸びを示している。失業率のさらなる緩やかな低下が予想される。労働市場の改善にもかかわらず、賃金の伸びは依然として低い。これはしばらく続く公算が大きいが、景気が強まれば、やがて賃金の伸びが押し上げられるはずだ。これと一致して、賃金の伸び率は底入れしたようであり、一部の雇用者は必要な技術を持つ労働者を雇用するのが難しくなったとの報告書がある。
 物価上昇率は低いままで、消費者物価指数(CPI)と基調的なインフレ率は2%をやや下回る水準で推移している。物価上昇率は当面低いままで、労働コストの低い伸びや小売業界の激しい競争を反映する公算が大きい。だが、景気が強まるのに従い、物価の緩やかな上昇が見込まれる。CPIに関する中心的な予想は、18年は2%をやや上回ることだ。
 貿易加重ベースで、オーストラリア・ドルは過去2年間で推移したレンジ内にある。豪ドルが上昇すれば、経済活動や物価上昇率は現在の予想よりも減速する見通しだ。
 シドニーとメルボルンの住宅市場は減速した。全国的な住宅価格の指標は過去半年間でほぼ変わらず。一部地域で価格が下落した。東部の主要都市では、集合住宅のかなりの追加的供給が向こう数年間に計画されている。豪健全性規制庁(APRA)の監視措置や信用水準の厳格化は、家計のバランスシートのリスク上昇を抑制するのに役立つが、家計の債務水準は依然として高い。
 低金利が豪州経済を支援し続けている。失業率の低下やインフレ目標水準への回復が一段と進展すると予想されるが、こうした進展は緩やかになる公算が大きい。入手可能な情報を考慮すると、金融政策を今会合で維持することが、インフレ率の目標達成や経済の持続的成長を促すと判断した。

 

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