ジャクソンホール後のドルの動き(2016年8月27日)

2016年8月27日

・昨日(8/26)23時にジャクソンホールのイエレンFRB議長講演内容が伝わると、初動はドル売り・株買いの反応となって100.28から100.88まで急伸しましたが、利上げと金融緩和の両方についての内容が伝わったことですぐに反転して100.05まで下落し、揉み合いとなりました。
しかしその後フィッシャーFRB副議長が「イエレンFRB議長の発言は9月利上げの可能性と整合」との報道でドルが再び買われ出して上昇幅を広げて上昇幅を拡げて03:45には101.94まで上昇し、101.81でNYクローズとなりました。
・ユーロドルはドル買いの影響を受けてドル円とは逆の動きとなり23:00に1.1303から1.1240まで急落した後は一旦1.1339まで上昇しました。
しかし再びドル買いの流れとなったことで急速な下げとなって04:00には1.1180まで下落し、1.1192でNYクローズとなりました。
・NY株は初動は買われましたが、フィッシャーFRB副議長発言でドル買い・利回り上昇となったことでダウは一時$100超の下落となり、その後は徐々に買い戻されてダウは小幅安・ナスは小幅高で引けました。
・米国10年債権利回りは23:00のジャクソンホール開始直後に1.560%から1.601%まで上昇した後一旦低下しましたが、00:30から再び上げ出して03:45には1.635%まで上昇し、1.628%でNYクローズとなりました。

 

 

イエレンFRB議長の講演要旨(時事通信より転載)

【米経済の現状】
 連邦公開市場委員会(FOMC)は、実質GDP(国内総生産)の緩やかな拡大や雇用の一段の強化が進み、インフレは今後2、3年で2%目標に上昇すると予想する。
FOMCは引き続き雇用、インフレの動向を見ながら、時間を掛けて緩やかに利上げするのが妥当だと考えている。
労働市場の堅調な状況や米経済活動とインフレの状況から見て、追加利上げの根拠が、この数カ月で強まっている。
もちろん金融政策の決定は今後の状況次第となる。
景気見通しには不確実性があり、金融政策は既定路線にあるものではない。

【金融緩和の効果】
 景気後退時に量的緩和やガイダンスは有効な政策手段だ。
 現在の政策手段は昨年12月(の利上げで)有効だと実証された。 FOMCは準備資産が過剰な環境下、効果的に誘導金利水準を引き上げ、目標範囲内に収めている。
 連邦準備制度理事会(FRB)は、物価目標の引き上げや名目GDP目標のような追加措置は積極的に検討していない。
 米経済の強化には、財政政策や構造改革が重要な役割を果たすが、金融政策も引き続き重要だ。
新たな金融政策の手法は研究し、議論する必要があるが、(現在の)金融政策は低金利が続いたとしても、大半の経済情勢に効果的に対応できる。

 

 

ドル円(チャートは6:00時点)
・昨日の欧州時間序盤は100.40-50での小動きが続き、21:00から小幅下げて100.20-35での小動きとなって、23:00は100.28でした。
ジャクソンホールでのイエレン議長講演開始直後の23:00に100.28から100.88まで急伸しましたがすぐに押し戻されて23:15には100.05まで下落して100.10-40で揉み合いとなりました。
しかし23:45からドル買いの流れが強まり、更にフィッシャーFRB副議長の「イエレンFRB議長の発言は9月利上げの可能性と整合」との報道で早いペースでの上昇となって03:45には101.94まで大幅上昇しました。
その後は101.80近辺で小動きとなって、101.81でNYクローズとなりました。

左:ドル円-5分足 右:ドル円-1時間足
 

左:ドル円-日足

 

ユーロドル(チャートは6:00時点)
・昨日の欧州時間序盤は1.1290近辺での小動きが続き23:00は1.1303でした。
23:00に1.1303から1.1240まで急落しましたが、すぐに反転して23:15には1.1339まで上昇しました。
しかしドル買いの流れとなったことで23:20からは急速な下げとなって04:00には1.1180まで下落し、その後は1.1190-1.1120での小動きとなって、1.1192でNYクローズとなりました。

左:ユロドル-5分足 右:ユロドル-1時間足
 

左:ユロドル-日足

 

米国10年債権利回り(チャートは7:00時点)
 23:00のジャクソンホール開始直後に1.560%から1.601%まで上昇しましたが、すぐに反転して1.530%まで低下しました。
しかし00:30から再び上げ出して03:45には1.635%まで上昇し、その後は高い利回りで推移して1.628%でNYクローズとなりました。

左:米国10年債権利回り-15分足 右:米国10年債権利回り-日足
 

 

昨夜のNY株式市場
NY DOW  18,395.40(-53.01)
NASDAQ   5,218.92(+6.71)
・先週金曜日のNY株はジャクソンホールでイエレンFRB議長が「追加利上げの根拠がこの数カ月で強まっている」との発言やフィッシャーFRB副議長がテレビインタビューで9月を含めた年内の2回の利上げの可能性について「イエレン議長が講演で述べたことはそれを否定するものではない。ただ、(今後の)経済指標を見るまでは分からない」との発言で早期利上げ観測の高まりから株は売られてダウは一時$100超の下落となりました。
しかし引けにかけては買い戻されてダウは小幅安、ナスは小幅高で引けました。

左:DOW-日足 右:NASDAQ-日足