オーストラリア中央銀行声明全文(2024年3月19日)

2024年3月19日

本日3/19(火)に行われたオーストラリア政策金利発表後のオーストラリア中央銀行声明全文です。(ロイターより転載)

 本日の理事会で、キャッシュレートの目標を4.35%に据え置くことを決定した。為替決済残高に支払われる金利も4.25%で据え置く。

<インフレは鈍化し続けているが、依然として高水準>
 最近の情報では、インフレ率はRBA(豪準備銀行=中央銀行)の最新予測に沿って鈍化し続けていることが示唆されている。1月の消費者物価指数(CPI)上昇率は前年同月比3.4%と前月から横ばいとなった。モノのインフレ率の鈍化にけん引される形で、モメンタムはこの数カ月にわたり緩和傾向が続いている。サービスのインフレ率は依然として高水準で、より緩やかなペースでの鈍化となっている。これは経済が引き続き超過需要の状態にあり、国内で労働と非労働の両面で投入コストの上昇圧力が強いことと整合的だ。
金利上昇は経済の需給バランスをより持続可能なものにすることにつながっている。従って労働市場の状況は緩やかな緩和が続いている。ただ持続的な完全雇用とインフレ目標に整合的な水準よりも引き締まったままだ。賃金伸び率は昨年10─12月期に小幅ながら一段と上向いたがピークアウトしたもようで、今後1年間は鈍化することが示唆されている。それでも、この水準の賃金伸び率は、生産性の伸びが長期平均程度まで上昇すれば、インフレ目標との整合性が保たれる。高インフレは依然として人々の実質所得を圧迫しており、個人消費の伸びは弱く住宅投資も鈍い。

<先行きは依然として極めて不透明>
 インフレが緩やかになっているという心強い兆候がある一方で、経済見通しは依然として不透明だ。10─12月期の国民経済統計では、成長が鈍化していることが確認された。高インフレと金利上昇の中、家計消費の伸びは特に弱いままだ。実質所得は最近の落ち込み後に安定し、ここから伸びることが予想されるため、消費の伸びを支えることが期待される。
一方、単位労働コストの伸びは依然として非常に高い。過去2四半期に生産性上昇率が上向いたため、やや緩やかになり始めているが、この傾向が持続するかどうかは不透明だ。
中心的な予想では、インフレ率は2025年に目標レンジの2─3%へ低下し、26年にレンジの中間値に戻る。需要が緩和し労働コストと非労働コストの伸びが鈍化するにつれて、サービスインフレは徐々に低下すると予想される。雇用は今後も緩やかに増加し、失業率と幅広い未活用労働者比率はもう少し上昇すると予想される。
海外ではモノのインフレに良好な兆しが見られるが、サービスインフレは続いており、国内でも同じことが起こる可能性がある。中国経済の先行きやウクライナと中東の紛争がもたらす影響についても依然として不透明感が強い。国内では金融政策の効果の遅れのほか、労働市場が引き締まっている時期に企業の価格決定と賃金が景気減速にどのように反応するかについても不確実性がある。個人消費の先行きも不透明だ。

<インフレ率を目標に戻すことが優先課題>
理事会の優先事項はインフレ率を合理的な時間枠内で目標に戻すことだ。これは物価の安定と完全雇用という中銀の責務に合致する。理事会はインフレ率が目標レンジに向かって持続的に推移していることを確信する必要がある。これまでのところ、中期的なインフレ期待はインフレ目標と整合的であり、この状態を維持することが重要だ。
最近のデータはインフレ率が低下していることを示しているが、なお高い水準にある。インフレ率が持続的に目標レンジに戻るまでにはまだしばらく時間がかかると予想している。インフレ率を合理的な時間枠内で目標に戻す最も確かな金利の道筋は依然として不透明だ。理事会は何も決定しておらず何も排除していない。データとリスクの評価次第だ。理事会は引き続き世界経済の動向、内需の傾向、物価と労働市場の見通しを注視していく。インフレ率を目標に戻すという決意に変わりはない。

 

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