オーストラリア中央銀行声明全文(2023年8月1日)

2023年8月1日

本日8/1(火)に行われたオーストラリア政策金利発表後のオーストラリア中央銀行声明全文です。(ロイターより転載)

 本日開催された理事会では、キャッシュ・レートの目標を4.10%に据え置くことを決定した。為替決済残高に支払われる金利も4.00%に据え置く。

 昨年5月以来、金利は4%ポイント引き上げられた。金利の上昇は経済の需給バランスをより持続可能なものにすることにつながっており、今後もこれは続く。このことと経済見通しを巡る不確実性を踏まえ、理事会は今月も金利を据え置くことを決定した。これまでの利上げの影響と経済見通しを見極めるための時間をもっと確保できる。

 オーストラリアのインフレ率は低下しているが、6%と依然として高過ぎる。製品価格の伸びは緩和したが、多くのサービス価格は急上昇している。家賃の伸びも高水準だ。消費者物価指数(CPI)の上昇率は引き続き縮小し、2024年末までに3.25%程度へ低下し、25年終盤には2─3%の目標範囲内に戻るというのが中心的な予測だ。

 豪経済は成長がトレンドを下回る局面にあり、これはしばらく続くと予想される。家計消費の伸びは弱く、住宅投資も低調だ。中心的な予測では、24年の国内総生産(GDP)成長率は1.75%前後、25年は2%強となる。

 労働市場の状況はやや緩和されたが依然として非常に引き締まった状況だ。求人・広告が依然として非常に高い水準にあるが、労働力不足は緩和されたと企業は報告している。経済と雇用はトレンドを下回る伸びが見込まれるため、失業率は現在の3.5%から徐々に上昇し、来年後半には4.5%程度になると予想される。労働市場の逼迫と高インフレを受けて賃金の伸びは上向いている。全体としては、生産性の伸びが回復すれば、賃金の伸びはなおインフレ目標に合致している。

 理事会の優先事項はインフレ率を合理的な時間枠内で目標に戻すことだ。高インフレは全ての人の生活を困難にし、経済の機能を損なう。貯蓄の価値を損ない、家計を苦しめ、企業の計画や投資を困難にし、所得格差を悪化させる。また高インフレが人々の期待に定着すれば、金利をさらに引き上げ失業率が一段と上昇することになるため、後でインフレ率を下げるには非常にコストがかかる。これまでのところ中期的なインフレ期待はインフレ目標と整合的であり、この状態を維持することが重要だ。

 最近のデータは、インフレ率が予想期間中に2─3%の目標範囲に戻り、生産と雇用が増加を続けることと整合的だ。しかし重大な不確実性もある。海外ではサービス価格の上昇が驚くほど持続しており、オーストラリアでも同じことが起こる可能性がある。また金融政策の時間差のほか、労働市場が引き締まっている時期に企業の価格決定と賃金が景気減速にどのように反応するかについても不確実性がある。個人消費の先行きも不透明な要因だ。多くの世帯が家計を圧迫する痛みを経験している一方で、住宅価格の上昇や、貯蓄の余裕、金利収入の増加などの恩恵を受けている世帯もある。全体としては、生活費への圧力と金利上昇が重なり、消費の伸びは大幅に鈍化している。

 インフレ率が合理的な期間内に確実に目標値に戻るようにするために、金融政策の幾分のさらなる引き締めが必要になる可能性がある。だがそれはデータとリスク評価次第だ。決定に当たっては、世界経済の動向、個人消費の傾向、物価と労働市場の見通しにこれからも細心の注意を払っていく。インフレ率を目標に戻すという決意に変わりはなく、そのために必要なことを行う。

 

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