オーストラリア中央銀行声明全文(2023年4月4日)

2023年4月4日

本日4/4(火)に行われたオーストラリア政策金利発表後のオーストラリア中央銀行声明全文です。(ロイターより転載)

 本日開催された理事会では、キャッシュレートの目標を3.60%に据え置き、為替決済残高の金利を3.50%に据え置くことを決定した。

 この決定は、昨年5月以来合計で3.5%ポイントの金利引き上げを行ったことを受けたものだ。金融政策には時間差があり、大幅な金利引き上げの効果はまだ完全には表れていないと認識している。これまでの利上げの影響と経済見通しを評価するための追加的な時間を確保するため、今月は金利を据え置くことを決定した。

 世界のインフレ率は依然として非常に高い。多くの経済圏でサービス価格の上昇率が高止まりしているものの、総合インフレ率は緩やかになっている。世界経済の見通しは依然として低迷しており、今年と来年は平均を下回る成長が予想される。米国とスイスにおける最近の銀行システムの問題は、金融市場の大幅な変動と、世界的な金利の見通しの見直しをもたらした。またこれらの問題は金融状況の引き締めにつながり、世界経済にとってさらなる逆風になると予想される。

 オーストラリアの銀行システムは強固で、十分な資本があり、流動性も高い。経済が必要とする信用を提供するのに十分な状態にある。

 月次の消費者物価指数(CPI)などのさまざまな情報は、オーストラリアのインフレがピークに達したことを示唆している。世界的な動向と国内の需要軟化により、製品の物価上昇率は今後数カ月で緩やかになるとみられる。一方、家賃はここ数年で最も速いペースで上昇しており、空室率は多くの地域で低くなっている。光熱費も急速に上昇している。中銀の基本予想では、インフレ率は今年から来年にかけて低下し、2025年半ばには3%程度になると見込んでいる。中期的なインフレ期待は依然として十分に固定されており、この状態を維持することが重要だ。

 豪経済の成長は鈍化しており、今後2年程度(couple of years)の成長率はトレンドを下回ると予想される。金利上昇、生活費への圧力、住宅価格下落の組み合わせが、家計支出の大幅な鈍化を招いていることを示すより多くの証拠がある。貯蓄に余裕のある世帯もあれば、家計が圧迫され困難に直面している世帯もある。

 労働市場は依然として逼迫している。失業率はほぼ50年ぶりの低水準にあり、不完全就業も低い。労働力不足が緩和され、欠員がやや減少したと報告する企業もあるが、多くの企業は引き続き人材の確保に苦慮している。経済成長が鈍化するにつれ、失業率は上昇するとみられる。

 労働市場の逼迫とインフレ率の上昇を受けて賃金は上昇し続けている。全体としては、生産性の伸びが回復すれば、賃金の伸びはなおインフレ目標に合致している。経済の余剰能力が限られ失業率が歴史的低水準にあることを踏まえ、理事会は物価と賃金のスパイラルのリスクに引き続き警戒している。従って労働コストの推移と企業の価格設定行動に引き続き細心の注意を払っていく。

 理事会の優先事項はインフレ率を目標値に戻すことだ。高インフレは人々の生活を困難にし、経済の機能を損なう。また高インフレが人々の期待に定着すれば、金利をさらに引き上げ失業率が一段と上昇することになるため、後でインフレ率を下げるには非常にコストがかかる。経済を安定させながらインフレ率を2─3%の目標範囲に戻すことを目指しているが、軟着陸を達成するための道筋は依然として狭い。

 インフレ率を目標値に戻すために、さらなる金融政策の引き締めが必要になる可能性が十分にあると予想している。今月は金利を据え置くことを決定したことで、不確実性が高い環境下で経済の状態と見通しを評価するための時間を確保することができる。金利をいつどの程度引き上げる必要があるかを判断する際には、世界経済の動向、個人消費の傾向、物価と労働市場の見通しに細心の注意を払っていく。インフレ率を目標に戻すという決意に変わりはなく、そのために必要なことを行う。

 

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