オーストラリア中央銀行声明全文(2023年3月7日)

2023年3月7日

本日3/7(火)に行われたオーストラリア政策金利発表後のオーストラリア中央銀行声明全文です。(ロイターより転載)

 本日開催された理事会では、キャッシュレートの目標を25ベーシスポイント(bp)引き上げ、3.60%とすることを決定した。また、為替決済残高の金利を25bp引き上げ、3.50%とした。

 世界のインフレ率は依然として非常に高い。多くの国・地域でサービス価格の上昇率が高水準にとどまっているものの、総合インフレ率は緩やかになっている。インフレ率が目標水準に戻るにはしばらく時間がかかる。世界経済の見通しは依然として低迷しており、今年と来年は平均以下の成長が見込まれる。

 月次消費者物価指数(CPI)は、オーストラリアのインフレがピークに達したことを示唆している。製品価格の上昇率は、世界経済の動向とオーストラリア国内の需要軟化により、今後数カ月で緩やかになると予想される。サービス価格の上昇率は、夏場に一部のサービスに対する需要が旺盛だったため、依然として高い水準にある。家賃はここ数年で最も速いペースで上昇しており、空室率は国内の多くの地域で低くなっている。基本予想では、インフレ率は今年から来年にかけて低下し、2025年半ばには3%程度になる見込みだ。中期的なインフレ期待は依然として十分に固定されており、この状態を維持することが重要だ。

 豪経済の成長は減速しており、10─12月期の国内総生産(GDP)は前期比0.5%増、前年比では2.7%増となった。今後2、3年の成長率はトレンドを下回ると予想される。個人消費の伸びは金融環境の引き締まりにより鈍化しており、住宅建設の見通しも軟化している。一方、設備投資の見通しは引き続き良好で、多くの企業が非常に高い水準の設備稼働率を維持している。

 労働市場はやや緩和されたとはいえ、依然として逼迫している。失業率は50年ぶりの低水準に近い水準で推移している。1月の雇用者数は減少したが、これは労働者の雇用における季節的なパターンの変化を一部反映している。多くの企業は引き続き人材の確保に苦慮しているが、労働力不足が最近緩和されてきたと報告する企業もある。経済成長が鈍化するにつれて失業率は上昇するとみられる。

 賃金は労働市場の逼迫とインフレ率の上昇を受けて上昇し続けている。全体としては賃金の伸びは依然としてインフレ目標と一致しており、物価と賃金がスパイラル的に上昇するリスクが低いことを最近のデータは示唆している。しかし経済の余剰能力が限られ失業率が歴史的低水準にあることを踏まえ、理事会は物価と賃金のスパイラルのリスクに引き続き警戒している。従って労働コストの推移と企業の価格設定行動に引き続き細心の注意を払っていく。

 金融政策には時間差があり、金利上昇の効果は住宅ローンの支払いにまだ完全には反映されていないことを理事会は認識している。個人消費の減速の時期と程度については不確実性がある。貯蓄に余裕のある世帯もあれば、金利上昇や物価上昇により家計が圧迫され、困難に直面している世帯もある。また住宅価格の下落も家計のバランスシートに影響を及ぼしている。世界的な金利の大幅かつ急激な上昇に対して、世界経済がどのように反応するかも不透明な要素だ。こうした不確実性は豪経済にとってさまざまなシナリオがあり得ることを意味する。

 理事会の優先事項はインフレ率を目標値に戻すことだ。高インフレは国民の生活を困難にし、経済の機能を損なう。また高インフレが人々の期待に定着すれば、金利をさらに引き上げ失業率が一段と上昇することになるため、後でインフレ率を下げるには非常にコストがかかる。経済を安定させながらインフレ率を2─3%の目標範囲に戻すことを目指しているが、軟着陸を達成するための道筋は依然として狭い。

 インフレ率を目標値に戻し高インフレを一時的なものにするために、さらなる金融引き締めが必要になると考えている。金利をいつどの程度引き上げる必要があるかを判断する際には、世界経済の動向、個人消費の傾向、物価と労働市場の見通しに細心の注意を払っていく。インフレ率を目標に戻すという決意に変わりはなく、そのために必要なことを行う。

 

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