オーストラリア中央銀行声明全文(2023年2月7日)

2023年2月7日

本日2/7(火)に行われたオーストラリア政策金利発表後のオーストラリア中央銀行声明全文です。(ロイターより転載)

 本日開催された理事会では、キャッシュ・レートの目標値を25ベーシスポイント(bp)引き上げ3.35%とすることを決定した。また為替決済残高の金利を25bp引き上げ3.25%とした。

 世界のインフレ率は依然として非常に高い。しかしエネルギー価格の低下、サプライチェーン問題の解消、金融政策の引き締めを受け、インフレは緩やかになりつつある。だがインフレ率が目標値に戻るまでには、まだ時間がかかると思われる。世界経済の見通しは依然低迷しており、今年と来年は平均以下の成長率になると予想される。

 オーストラリアの2022年第4・四半期の消費者物価指数(CPI)は前年比7.8%上昇し、1990年以来の高い伸びとなった。またコアインフレ率は6.9%上昇し、市場予想を上回った。多くは世界的な要因によるものだが、強い内需が経済の多くの分野でインフレ圧力に拍車をかけている。

 今年は世界的な要因と内需の成長鈍化によりインフレ率が低下すると予想される。中心的な予測では、今年のCPI伸び率は4.75%に縮小し、25年半ばには3%程度になるとみられる。中期的なインフレ期待は依然としてしっかり固定されており、この状態を維持することが重要だ。

 豪経済は22年に力強く成長した。中心的な予測は3カ月前とほとんど変わらず、国内総生産(GDP)成長率は23年と24年に1.5%程度に減速すると予想される。新型コロナウイルス規制の解除に伴うサービス支出の回復はほぼ一巡した。金融情勢のタイト化により支出はさらに広く抑制される。

 労働市場は依然として逼迫している。失業率はここ数カ月、1974年以来の低水準である3.5%程度で安定的に推移している。求人倍率と求人広告はともに非常に高い水準にあるが、最近はやや低下している。多くの企業が人材の確保に苦慮しているが、最近になって労働力不足が緩和されてきたと報告する企業もある。経済成長の鈍化に伴い、失業率は上昇すると予想される。中心的な予測では今年末までに3.75%に上昇し、25年半ばには4.5%になると見込まれている。

 賃金は過去数年の低水準から持ち直しつつあり、労働市場の逼迫とインフレ率の上昇により一段の伸びが予想される。物価と賃金のスパイラルを回避することの重要性を踏まえ、理事会は今後とも労働コストの推移と企業の価格設定行動の双方に細心の注意を払っていく。

 金融政策には時間差があり、金利上昇の効果は住宅ローンの支払いにまだ完全には反映されていないことを理事会は認識している。個人消費は今後減速すると予想されるが、時期と程度は不確かだ。貯蓄に余裕のある世帯もあれば、金利上昇と生活費の増加によって家計が圧迫され、困難に直面している世帯もある。また家計のバランスシートは住宅価格の下落の影響を受けている。世界的な金利の大幅かつ急激な上昇に世界経済がどう反応するかも不確実要素だ。こうした不確実性は豪経済にとってさまざまなシナリオがあり得ることを意味する。

 理事会の優先事項はインフレ率を目標値に戻すことだ。高インフレは国民の生活を困難にし経済の機能を損なう。また高インフレが人々の期待に定着すれば、後でインフレを抑えるのに非常に大きなコストがかかることになる。理事会は経済の安定を保ちながらインフレ率を2─3%の範囲に戻すことを目指しているが、軟着陸を達成するための道筋は依然として狭い。

 理事会はインフレ率を目標値に戻し高インフレを一時的なものにするために、今後数カ月でさらなる利上げが必要になると考えている。どの程度の利上げが必要かを判断する際、世界経済の動向、個人消費の傾向、物価と労働市場の見通しに細心の注意を払っていく。インフレ率を目標に戻すという決意に変わりはなく、そのために必要なことを行う。

 

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