オーストラリア中央銀行声明全文(2022年7月5日)

2022年7月5日

本日7/5(火)に行われたオーストラリア政策金利発表後のオーストラリア中央銀行声明全文です。(ロイターより転載)

 本日の会合で、キャッシュレートの目標値を50ベーシスポイント(bp)引き上げ、1.35%とすることを決定した。為替決済残高の金利も50bp引き上げ1.25%とした。

 インフレ率は世界的に高水準にある。新型コロナウイルスに関連したサプライチェーンの混乱、ウクライナでの戦争、生産能力を圧迫している旺盛な需要がインフレを押し上げている。金融政策は世界的にこの高インフレに対応しようとしているが、大半の国でインフレ率が目標値に戻るにはまだ時間がかかるだろう。

 オーストラリアでもインフレ率は高いが、他の多くの国ほどは高くない。豪インフレ率上昇の大部分は世界的な要因によるものだが、国内的な要因も作用している。強い需要、逼迫した労働市場、一部のセクターにおける生産能力の制約が、物価上昇圧力に寄与している。洪水も一部の物価に影響を及ぼしている。

 インフレ率は年内にピークを打ち、来年には2─3%のレンジに向かって再び低下すると予想される。世界的な供給サイドの問題が緩和され、コモディティー価格が高水準であっても安定化すれば、インフレ率は緩やかになると見込まれる。また、金利の上昇は、財・サービスの需要と供給の間のより持続可能なバランスの確立に寄与する。中期的なインフレ期待は依然として十分に抑制されており、この状態を維持することが重要だ。来月、4─6月期の消費者物価指数(CPI)が発表された後、最新の予測値が発表される予定となっている。

 オーストラリア経済は引き続き底堅く、労働市場はここしばらくの間で最もタイトな状態にある。5月の失業率は3.9%と横ばいで、約50年間で最も低い水準を維持した。不完全雇用も大幅に減少している。求人は非常に高い水準にあり、今後数カ月は失業や不完全雇用のさらなる減少が見込まれる。企業への聞き取り調査では、企業が逼迫した労働市場で人材獲得競争を行う中、近年の低水準から賃金の伸びが加速することが引き続き示されている。

 景気の先行きを不透明にしている要因の一つは、家計消費の動向だ。最近の消費動向は良好ではあるものの、家計は物価高と金利上昇の圧力にさらされている。住宅価格も、ここ数年の大幅な上昇の後、ここ数カ月には一部の市場で下落している。家計の貯蓄率はパンデミック(新型コロナ流行)前よりも高い水準を維持しており、多くの家計は大きな金融バッファーを構築し、より強い所得の伸びの恩恵を受けている。理事会は、金融政策の適切な設定を評価する際に、家計消費に対するこうしたさまざまな影響に細心の注意を払っていく。

 世界の見通しは依然、ウクライナ戦争とそれがエネルギーや農産物の価格に与える影響によって不透明になっており、理事会は十分な注意を払うつもりだ。多くの国で実質家計所得が圧迫されており、中央銀行が利上げに動く中、金融環境が引き締まりつつある。また、特に中国において、コロナに関連する不確実性が継続的に存在している。

 本日の理事会による金利引き上げは、パンデミックの影響から豪経済を守るために実施された異例の金融支援の巻き戻しのさらなる一歩となるものだ。経済の耐性とインフレ率の上昇は、この特別な支援がもはや必要ないことを意味している。理事会は、今後数カ月の間に、オーストラリアの金融情勢を正常化するプロセスにおいて、さらなる措置を取ることを見込んでいる。今後の金利引き上げの規模とタイミングは、これから発表される各種データや、インフレと労働市場の見通しに関する理事会の評価によって決定される。理事会は、豪インフレ率が徐々に目標値に戻ることを確実にするために必要なことを行うと確約する。

 

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