オーストラリア中央銀行声明全文(2022年3月1日)

2022年3月1日

本日3/1(火)に行われたオーストラリア政策金利発表後のオーストラリア中央銀行声明全文です。(ロイターより転載)

  本日開催された理事会で以下の通り決定した。
1)キャッシュレートの目標値を10ベーシスポイント(bp)に維持し、為替決済残高の金利を0%に維持する。

 世界経済は(新型コロナウイルスの)パンデミック(世界的流行)からの回復を続けている。しかしウクライナでの戦争は新たな大きな不透明要因となっている。世界の一部の地域では、旺盛な需要に伴うエネルギー価格の大幅な上昇とサプライチェーンの混乱により、インフレ率が急上昇している。ウクライナ危機により、多くの商品(コモディティー)の価格がさらに上昇した。債券利回りは過去1カ月間上昇し、将来の政策金利への予想も強まってている。

 豪経済は引き続き底堅く、オミクロン変異株の感染縮小を経て消費は回復している。家計と企業のバランスシートはおおむね良好な状態で、企業投資は上向きつつあり、多くの建設工事が完成を予定している。マクロ経済政策も引き続き成長を支えるものとなっている。

 経済の回復力は労働市場にも表れており、失業率は14年ぶりの低水準となる4.2%に達した。不完全雇用も2008年以来の低水準付近にある。オミクロン株の感染により1月の労働時間は大幅に減少したが、感染率の低下と求人数の多さを踏まえると、今後数カ月は力強い回復が見込まれる。中銀の中心的な予測では、失業率は年内に4%を下回り、来年も4%未満を維持する見込みだ。

 賃金上昇率は持ち直しているが、全体としてはパンデミック前の比較的低い水準にとどまっている。労働市場の逼迫に伴い、賃金上昇率や広範な労働コストの指標はさらに上昇するとみられる。歴史的に低い失業率の下での労働コストの動向は不透明だが、上昇は緩やかなものになると予想される。

 インフレ率は中銀の予想を上回る速さで上昇しているが、他の多くの国に比べるとなお低水準だ。中銀の予測では、基調的なインフレ率は今後数四半期にさらに上昇し約3.25%となり、供給側の問題が解決され、消費パターンが正常化するにつれて23年には約2.75%に低下する見込みだ。消費者物価指数(CPI)の伸び率は、世界情勢に起因するガソリン価格の上昇により、これより高くなるとみられる。サプライチェーンの混乱が解消する時期と世界のエネルギー市場動向は、インフレ見通しに関する重要な不確実性要因となっている。

 オーストラリアの金融情勢は引き続き極めて緩和的だ。金利は、一部の固定金利が最近上昇したとはいえ、非常に低い水準にとどまっている。豪ドルの為替レートは過去1年ほどの安値圏で推移している。住宅価格は、一部の都市で上昇率が緩やかになったものの、大幅に上昇している。金利が歴史的な低水準にある中、貸し出し基準を維持し、借り手が適切なバッファーを持つことが重要だ。

 理事会はオーストラリアの完全雇用の回復と目標に合致したインフレ率という目的を達成するため、高度に景気支援的な金融環境を維持することを約束する。理事会は実際のインフレ率が持続的に2─3%の目標範囲内に収まるまで、キャッシュレートの引き上げは行わない。インフレ率は上向いているが、目標範囲内に持続的に収まったと結論付けるには時期尚早だ。最近の世界的なエネルギー市場の動向や供給サイドの問題を考えると、インフレ率の上昇がどの程度持続するかは不透明だ。同時に、賃金の伸びは依然として緩やかであり、労働コストの伸びがインフレ率の持続的な目標達成と一致するようになるにはまだ時間がかかりそうだ。理事会はオーストラリアのインフレに影響を与えるさまざまな要因がどのように進展するかを監視しながら、忍耐強く対応する用意がある。

 

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