オーストラリア中央銀行声明全文(2021年9月7日)

2021年9月7日

本日9/7(火)に行われたオーストラリア政策金利発表後のオーストラリア中央銀行声明全文です。(ロイターより転載)

 本日開催された理事会で以下のとおり決定した。 1)キャッシュ・レートの目標値を10ベーシスポイント(bp)に維持し、為替決済残高の金利を0%に維持する。 2)2024年4月の豪国債の利回り目標を10bpに維持する。 3)週40億ドルのペースで国債を購入し、少なくとも2022年2月中旬まではこのペースで購入を継続する。
 新型コロナウイルスのデルタ株感染が発生する前、オーストラリア経済はかなりの勢いがあった。第2・四半期には実質国内総生産(GDP)が前期比0.7%増加し、前年比では10%近く拡大した。企業の投資は回復し、労働市場も力強くなっていた。失業率は5%を下回り、求人も高水準だった。
 しかし国内経済の回復はデルタ株の大流行とそれに伴う活動制限によって中断された。第3・四半期のGDPは大幅に減少し、失業率は今後数カ月の間に上昇すると予想されている。デルタ株は経済の大半に影響を与えているが影響は一様ではなく、非常に厳しい状況に直面しているところもあれば、力強い成長を続けているところもある。
 このような景気拡大の後退は一時的なものにとどまるとみられる。デルタ株の大流行は回復を遅らせることはあっても、腰折れさせることはないと予想される。ワクチン接種率がさらに上昇し制限が緩和されれば、経済は立ち直るはずだ。しかし、この回復の時期とペースについては不確実性があり、年初に比べて遅くなる可能性がある。国民の健康状態と活動制限の緩和に大きく左右される。中銀の中心シナリオでは、経済は第4・四半期に再び成長し、来年の下半期にはデルタ株流行以前の軌道に戻ると予想している。
 デルタ株流行前の好調な経済・労働市場の状況にもかかわらず、賃金や物価の上昇圧力は依然として抑制されている。第2・四半期の賃金価格指数は前年同期比1.7%の上昇にとどまった。
 住宅価格は引き続き上昇しているが、新型コロナ発生後、一部の市場では売買が減少している。また、住宅購入者と投資家の両方による借り入れ需要の高まりにより、住宅ローンの伸びは回復している。住宅価格の上昇と低金利という環境下で、中銀は住宅ローンの動向を注意深く監視しており、貸し出し基準を維持することが重要だ。
 非常に緩和的な金融環境は、引き続きオーストラリア経済の回復を支える。借入金利は過去最低水準で、国債利回りは非常に低い水準にある。為替レートはここ数カ月で下落した。また、豪連邦政府や州・準州政府による財政対応も、家計や企業のバランスシートを支える上で歓迎すべき支援となっている。
 理事会は週40億ドルの債券購入を少なくとも2022年2月まで延長することを決定したが、これは経済回復の遅れとデルタ株の流行に伴う不確実性の高まりを反映したものだ。経済状況や健康状態、および完全雇用とインフレ目標に向けた進展への影響を考慮して、理事会は債券購入プログラムの見直しを継続する。これらの債券購入は、低水準のキャッシュレート、利回り目標、ターム資金調達ファシリティー(TFF)による資金供給とともに、オーストラリア経済に実質的かつ継続的な支援をもたらしている。
 オーストラリアの完全雇用の回復と目標に沿ったインフレ率を達成するために、理事会は非常に緩和的な金融条件を維持することを約束する。実際のインフレ率が持続的に2─3%の目標範囲内に収まるまで、キャッシュレートの引き上げは行わない。経済の中心シナリオは、この条件が2024年までに達成されないというものだ。この条件を満たすためには、労働市場が引き締まり、賃金の伸びが現在の水準から大幅に拡大する必要がある。

 

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