オーストラリア中央銀行声明全文(2021年7月6日)

2021年7月6日

本日7/6(火)に行われたオーストラリア政策金利発表後のオーストラリア中央銀行声明全文です。(ロイターより転載)

 本日開催された理事会で以下のとおり決定した。
(1)2024年4月債を引き続き利回り目標の債券とし、10ベーシスポイント(bp)の利回り目標を維持する。
(2)現行の国債購入プログラムが9月上旬に終了した後も、国債買い入れを継続する。少なくとも11月中旬まで週40億ドルのペースで購入する。
(3)キャッシュレートの目標を10bpに維持し、為替決済残高に対する金利を0%に維持する。

 これらの措置により、経済が回復局面から拡大局面へと移行する際に必要となる継続的な金融支援を行う。理事会は、完全雇用とインフレ率の目標を達成することにコミットしている。本日の決定は、これまでの決定と合わせて、経済がこれらの目標を達成するための道筋をつけた。

 オーストラリアの景気回復は以前の予想よりも強く、今後も続くとみられる。投資の見通しは改善され、家計と企業のバランスシートはおおむね良好な状態にある。国民所得も商品(コモディティー)の輸出価格上昇に支えられている。国内の金融情勢は非常に良好で、為替レートは最近やや下落している。目先の不確実性としては、最近の新型コロナウイルス感染とロックダウン(都市封鎖)の影響がある。しかし、これまでの経験を踏まえると、いったん流行が収まり規制が緩和されると、経済はすぐに立ち直る。

 労働市場は引き続き予想を上回る速さで回復している。5月の失業率は5.1%とさらに低下し、新型コロナのパンデミック(大流行)前よりも多くの国民が職を得ている。また、不完全雇用も減少しており、労働力(labour force participation)は過去最高水準にある。求人数は多く、特にオーストラリアの国境閉鎖の影響を受けた地域では、労働力不足を訴える企業が増えている。

 雇用が大幅に回復し、人手不足が報告されているにもかかわらず、インフレ率と賃金は依然として抑えられている。インフレ率と賃金の上昇が期待されるものの、緩やかで小幅なものにとどまるだろう。基本シナリオでは、基調インフレ率は2021年に1.5%、23年半ばには2%になると予想している。短期的には、新型コロナ関連の価格引き下げが1年前に行われたことから、CPIは4─6月に一時的に前年同期比約3.5%まで上昇したとみられる。

 2024年4月債の利回り目標を10bpに維持することで、短期金利を引き続き低水準に保ち、オーストラリアの低い資金調達コストを支える。この債券の利回りは目標と一致しており、豪中銀は目標値達成のために市場で活動する用意がある。

 債券購入プログラムは、豪経済を支える上で重要な役割を果たしている。インフレ目標と雇用目標からまだ離れていることを考慮して、豪中銀は債券購入を継続する。しかし、予想を上回る経済回復と見通しの改善に対応して理事会は毎週の購入額を調整している。また、11月にさらなる見直しを行い、その時点での経済状況に対応できるようにする。

 ターム資金調達ファシリティー(TFF)の最終借入日は6月下旬に行われた。合計で1880億ドルが提供、オーストラリアの銀行システムは高い流動性を維持している。TFFは3年間にわたって低コストの固定金利で資金を供給するもので、2024年半ばまで低い借入コストに寄与し続ける。

 住宅市場は引き続き堅調で、全ての主要市場で価格が上昇している。住宅ローンの伸びは、初めて住宅を購入する顧客を中心とした持ち家に対する強い需要を受けて回復している。また、投資家による借り入れも増加している。住宅価格の上昇と低金利の環境を考えると、豪中銀は住宅ローンの動向を注意深く監視する。貸出基準を維持することが重要だ。

 理事会は、完全雇用の回復と目標に沿ったインフレ率の達成に向けて、非常に支援的な金融条件を維持することを約束する。実際のインフレ率が持続的に2─3%の目標範囲内に収まるまで、キャッシュレートの引き上げは行わない。豪中銀の経済に関する中心的なシナリオは、この条件が2024年までに達成されないというものだ。これが実現するには、労働市場が十分に引き締まり、賃金の伸びが現在の水準から大幅に拡大する必要がある。

 

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