オーストラリア中央銀行声明全文(2021年4月6日)

2021年4月6日

本日4/6(火)に行われたオーストラリア政策金利発表後のオーストラリア中央銀行声明全文です。(ロイターより転載)

 本日開催された理事会で、10ベーシスポイント(bp)のキャッシュレートと3年物国債利回りの目標、ターム資金調達ファシリティー(TFF)、国債購入プログラムを含め、現行の政策設定を維持することを決定した。
 ワクチンの普及は、世界経済の回復を支えているが、回復にはばらつきがある。今後の見通しについては、まだかなりの不確実性があるものの、中心的な見通しは改善している。世界の貿易は回復し、一次産品価格はほとんどが年初に比べて高くなっている。インフレ率は依然として低く、中銀の目標値を下回っている。
 ワクチンに関する明るいニュースや米国の追加財政刺激策により、ここ数カ月、国債の利回りは上昇している。またインフレ期待も過去最低水準から上昇し、中銀の目標値に近づいている。豪3年物国債利回りは理事会の目標である10bpに達しており、ほとんどの借り手に対する貸出金利は過去最低水準となっている。豪ドルは、ここ数年のレンジの上限にとどまっている。
 オーストラリアの景気回復は順調に進んでおり、予想以上に好調だ。2月の失業率は5.8%に低下し、就業者数はパンデミック前の水準に戻った。公衆衛生状況の改善に伴う家計消費のさらなる増加に後押しされ、昨年第4・四半期の国内総生産(GDP)は前期比3.1%の力強い増加となった。この回復は今後も続き、今年と来年はトレンドを上回る成長が見込まれている。家計と企業のバランスシートは良好な状態にあり、この先も消費を支える要因となるだろう。
 とはいえ、賃金や物価の上昇圧力は抑えられており、数年間はこの状態が続くと予想される。経済にはかなりの余剰生産能力が存在し、失業率はまだ高すぎる。この余剰生産能力を減らし、インフレ目標の達成と一致する賃金上昇を生み出すのに十分なほど労働市場が引き締まるまでには、しばらく時間がかかるだろう。
 短期的には、新型コロナウイルスに関連した一部の値下げの反動で、消費者物価指数(CPI)が一時的に上昇すると予想される。この点を考慮すると、基調的なインフレ率は数年間にわたって2%以下で推移すると見込まれる。
 住宅市場は騰勢を強め、ほとんどの市場で価格が上昇している。初めて住宅を購入する顧客からの強い需要を受けて、持家向けの住宅融資の伸びが回復した。一方、投資家向けの信用の伸びは依然として抑えられている。住宅価格の上昇と低金利の環境を考えると、豪中銀は住宅ローンの動向を注意深く監視する。貸出基準を維持することが重要だ。
 理事会は引き続き、10bpの3年債利回り目標にコミットする。2024年4月債を目標の国債として維持するか、次の銘柄に移行するかを今後検討する。最初の1000億ドルの国債購入プログラムはほぼ完了し、来週には2回目の1000億ドルのプログラムが開始される。完全雇用とインフレの目標達成に寄与するなら、さらに国債を購入する用意がある。TFFの下で公認預金受入金融機関(ADI)向けに950億ドルが提供され、さらに950億ドルが利用可能だ。2020年に入ってから、豪中銀のバランスシートは約2150億ドル増加した。
 これらのさまざまな金融政策は、資金調達コストを非常に低く抑え、為替レートの低下に寄与し、信用供給や家計・企業のバランスシートを支援することで、引き続き経済を支えている。金融政策と財政政策が一体となって、総需要の回復と雇用の増加に貢献している。
 理事会は目標が達成されるまで、非常に支持的な金融環境を維持することを約束している。実際のインフレ率が2─3%の目標範囲内に持続的に収まるまで、キャッシュレートを引き上げない。これが実現するには、賃金の伸びが現在の水準から大幅に拡大する必要がある。それには雇用が大幅に増加し、労働市場が逼迫した状態に戻ることが必要だ。早くても2024年までにこれらの条件が満たされるとは予想していない。

 

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