オーストラリア中央銀行声明全文(2020年10月6日)

2020年10月6日

本日10/6(火)に行われたオーストラリア政策金利発表後のオーストラリア中央銀行声明全文です。(ロイターより転載)

 本日の理事会では、キャッシュレート、3年物国債利回り、規模を拡大したターム物調達ファシリティー(TFF)の目標など、現行の政策を維持することを決定した。
 世界経済は新型コロナウイルスのパンデミック(大流行)の影響による深刻な収縮から徐々に回復しつつある。しかし、回復は一様ではなく、その継続はウイルスの封じ込めにかかっている。感染率は一部の国では低下しているが、他の国では上昇している。回復が最も進んでいるのは中国で、ここ数カ月で状況が大幅に改善している。世界的に見ても、インフレ率は依然として非常に低く、中央銀行の目標を下回っている。
 金融環境は世界中で緩和的な状態が続いており、景気回復を支援している。金融市場のボラティリティは低く、経済見通しの不確実性が高いにもかかわらず、多くの資産の価格は大幅に上昇している。債券利回りは歴史的に低い水準にあり、ほとんどの企業や家計の金利も同様だ。豪ドルは、過去数年のピーク時の水準をわずかに下回っている。
 豪経済は第2・四半期に急激な縮小を経験し、国内総生産(GDP)は7%減少した。GDPの減少は他のほとんどの国よりも小さく、当初の予想よりも小幅だった。現在、オーストラリアの大部分の地域では回復が進んでいるが、ビクトリア州では新型コロナ第2波が発生したため、生産がさらに縮小した。全国的な回復は起伏が多く不均等なものとなる可能性が高く、GDPが2019年末の水準に戻るまでにはしばらく時間がかかる。
 労働市場の状況はここ数カ月で幾分改善しており、失業率は以前の予想よりも低い水準でピークを迎える公算が大きい。それでも、失業率と失業率は長期にわたって高止まりする可能性が高い。賃金とインフレ圧力は依然として非常に抑制されている。豪中銀は来月、最新の予測を発表する。
 過去6カ月間、豪経済は財政政策の大幅な緩和に支えられてきた。公的部門の財政状況は良好な状態にあり、引き続き支援を可能にしている。政府は今晩予算案を発表する。景気見通しと高い失業率予想を踏まえると、財政・金融両面での支援がしばらくの間必要となる。
 豪中銀の政策パッケージは予想通りに機能しており、非常に低い借入コストと家計や企業への信用供給を支えている。オーストラリアの金融システムの流動性は非常に高く、借入コストは過去最低水準にある。
 当初のTFF資金枠で公認預金受入金融機関(ADI)向けに810億ドルの低コスト資金が提供された。金融機関はこのファシリティの下でさらに 1200億ドルの資金調達が可能だ。これが利用されると、豪中銀のバランスシートはさらに大幅に拡大することになる。
 国債市場は、発行額が大幅に増加したが順調に機能している。債券利回りは過去最低水準付近で推移している。9月初旬には、3年債利回り目標を達成するため、さらに20億ドルの豪政府証券(AGS)を購入した。3月以降の国債購入総額は630億ドルに達した。3年債利回りはここ数週間で18ベーシスポイント(bp)前後まで低下しており、市場は追加金融緩和の可能性を一定程度織り込んでいる。
 理事会は、オーストラリアの雇用・所得・企業を支援するためにできる限りのことを行うことを約束している。先月のTFF拡大決定を含む理事会の行動は、資金調達コストを低く抑え、信用供給を支援している。理事会は、高い失業率に対処することを重要な国家的優先事項と考えている。必要とされる限り、高度に緩和的な政策を維持する。完全雇用に向けて進展が見られ、インフレ率が2─3%の目標範囲内で持続的に推移すると確信するまではキャッシュレートの目標値を引き上げない。追加の金融緩和がどのように雇用を支えることができるかを引き続き検討していく。

 

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