オーストラリア中央銀行声明全文(2020年7月7日)

2020年7月7日

本日7/7(火)に行われたオーストラリア政策金利発表後のオーストラリア中央銀行声明全文です。(ロイターより転載)

 本日開催された理事会において、キャッシュ・レートの目標値や3年物の豪国債利回り25ベーシスポイント(bp)など現行の政策を維持することを決定した。

 新型コロナウイルスを封じ込めようとする各国の動きに伴い、世界経済は深刻な景気低迷に見舞われている。多くの人が職を失い、失業率が急上昇している。先行的な経済指標は最近、おおむね持ち直しており、世界経済の最悪の落ち込みが過ぎ去ったことを示唆している。にもかかわらず、見通しは依然不透明で、回復への道は険しく、新型コロナの封じ込め次第だ。この1カ月間、多くの国で感染率が低下しているが、他の国ではまだ非常に高く上昇している。

 世界的には、金融市場の状況は改善している。ボラティリティーは低下し、債券と株式相場の両方が大幅に上昇した。経済見通しの不確実性が高いにもかかわらず、多くの資産の価格は大幅に上昇した。債券利回りは歴史的な低水準にとどまっている。

 オーストラリアでは、国債市場が有効に機能しており、3年物の豪国債(AGS)利回りは目標の25bp前後となっている。このような状況を踏まえ、豪中銀は国債の購入をしばらく見送っており、これまでの購入総額は約500億ドルとなっている。今後も国債購入の規模を拡大する用意があり、債券市場の機能を維持し、3年物国債の利回り目標を達成するために必要なことは何でも行っていく。利回り目標は、完全雇用とインフレ率の目標達成に向けて進展があるまで維持される。

 豪中銀の市場運営は、オーストラリアの金融システムにおける高水準の流動性を引き続き支えている。預金受入れ機関は引き続きターム物資金調達ファシリティーを利用しており、これまでの総引き出し額は約150億ドルとなっている。今後数カ月の間に、このファシリティーの更なる利用が見込まれる。

 豪経済は非常に困難な時期を迎えており、1930年代以来最大の落ち込みを経験している。3月以降、前例のない80万人が職を失ったほか、多くの人は政府やその他の支援プログラムによってのみ職を維持している状態だ。しかし、最近になって状況は安定してきており、景気低迷は以前の予想ほど深刻ではなくなっている。国内の総労働時間は5月も減少したが、減少幅は4月よりもかなり小さく、事前予想よりも小さかった。また、国内のほとんどの地域で感染の減少や規制の緩和を受けて、個人消費にも持ち直しの動きが見られた。

 緩やかな改善の兆しが見られるものの、景気回復の内容やスピードについては、依然として不透明感が高い。衛生状態や景気の先行きに対する不確実性から、多くの家計や企業が慎重になっており、消費や投資計画に影響を与えている。また、パンデミック(世界的流行)の影響により、多くの企業がビジネスモデルの再考を迫られている。需要の回復に合わせて従業員を再雇用する企業もあれば、事業の再編を行う企業も見られる。

 オーストラリアでは、財政・金融政策の実質的かつ協調的で前例のない大幅な緩和が、この困難な時期を乗り切るための一助となっている。今後もしばらくの間は、財政・金融支援が必要になると思われる。

 理事会は、雇用・所得・事業を支援し、豪経済が回復に向けて十分な態勢にあることを確かなものにするために、できる限りのことを行うことを約束している。理事会は資金調達コストを低く抑え、家計や企業への信用供給を支援している。この緩和的なアプローチは必要とされる限り維持する。完全雇用に向けて進展があり、インフレ率が2─3%の目標値の範囲内で持続的に推移すると確信するまでは、キャッシュ・レートの目標値を引き上げない。

 

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