オーストラリア中央銀行声明全文(2020年4月7日)

2020年4月7日

本日4/7(火)に行われたオーストラリア政策金利発表後のオーストラリア中央銀行声明全文です。(ロイターより転載)

 本日の理事会において、2020年3月19日に発表された他のパッケージとともに理事会は、キャッシュレートと3年物オーストラリア国債利回り目標の0.25%を再確認した。

 コロナウイルスは、何よりもまず公衆衛生上の大きな問題であるが、世界中の経済や金融システムに非常に大きな影響を及ぼしている。多くの国が公衆衛生上の対応の結果として大きな経済的収縮を経験すると予想される。失業率の大幅な上昇も予想される。ひとたびウイルスが封じ込められると、世界経済の回復が期待され、その回復は、実施された大規模な財政パッケージと金融政策の大幅な緩和の両方に支えられる。

 金融市場のボラティリティは歴史的水準からみて高く、世界中の多くの市場が混乱している。しかしながら、市場が数週間前よりも効果的に機能している兆候もある。この改善は、中央銀行によって行われた実質的な措置を一部反映している。

 オーストラリアでは、3年物国債の利回りは現在、理事会が設定した目標水準付近にあり、国債市場の機能は改善している。当行は3年債利回り目標の達成まで必要なことを行い、完全雇用とインフレの目標に向けて進展が見られるまで目標は据え置かれる見通しだ。この目標が導入されて以来、中銀は州・準州債を含む国債を流通市場で約360億ドル購入した。当行は、これらの重要な市場の円滑な機能を引き続き促進していく。しかし、状況が改善し続ければ、国債の買い入れ規模や頻度を縮小する可能性がある。

 当行は、信用を支え、経済の資金調達コストを低く抑えるために、日々の公開市場操作を通じて、金融システムにかなりの流動性を注入してきた。金融システムが十分な流動性を有することを引き続き確保する。すでにシステム内に十分な流動性が存在し、ターム物調達ファシリティが開始されたことを考えると、短期的には日々の公開市場オペの規模は縮小する可能性が高い。なお、より長期のオペレーションは継続するが、これらのオペレーションの頻度は市場状況の必要性に応じて調整する。

 ターム物調達ファシリティの下での最初の引き出しが昨日実施された。このファシリティは、銀行システム全体の資金調達コストの削減を支援し、貸し手が企業、特に中小企業に対する信用供与を支援するインセンティブを提供する。公認預金取扱機関は、このファシリティの下で少なくとも900億ドルの資金を利用することができる。

 オーストラリア経済の目先の見通しについてはかなりの不確実性がある。ウイルスを封じ込める努力が成功するかどうか、そして社会的距離を保つための手段がどれだけの期間維持される必要があるかに大きくかかっている。しかしながら、4ー6月期には経済が大幅に縮小し、失業率も長年の最高水準を記録すると予想される。

 協調された金融・財政面での対応は、オーストラリアの銀行による補完的な措置と相まって、予想される景気縮小を緩和し、健康危機が克服され規制が撤廃された後の経済回復を確保するのに役立つ。これらの様々な対応は、非常に困難な時期を通じオーストラリアの家庭や企業に多大な支援を提供している。オーストラリアの金融システムは回復力がある。十分な資本を有し、強力な流動性ポジションがあり、経済を支えるために必要な場合には財務バッファーを取り崩すことができる。

 理事会は、オーストラリアがコロナウイルスに対応するなか、雇用、収入、ビジネスを支援するためにできることをすることにコミットしている。先月発表された包括的な政策パッケージも予想される景気回復を後押しするだろう。理事会は、完全雇用に向けた進展がみられ、インフレが持続的に2-3%の目標範囲内に収まると確信するまでは、キャッシュレート目標を引き上げない。

 オーストラリアがこの非常に困難な状況に対処するにあたり、理事会はすべてのオーストラリア国民のご多幸を祈る。

 

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