オーストラリア中央銀行声明全文(2019年4月2日)

2019年4月2日

本日4/2(火)に行われたオーストラリア政策金利発表後のオーストラリア中央銀行声明全文です。(時事通信より転載)

 理事会は本日の会合でキャッシュレート(政策金利)を1.50%に据え置くことを決めた。
 世界経済の見通しは引き続きまずまずの状況で、成長率は減速し、下振れリスクが高まった。多くの国で国際貿易の伸びは低下し、投資意欲は軟化した。中国では部分的には景気減速に対応するため、当局は金融緩和の手段を講じた。世界では名目物価は原油価格の下落を受けて鈍化したが、中核的インフレ率は多くの国で上向いた。ほとんどの先進国経済では失業率は低く、賃金の伸びは上向いた。
 世界の金融状況は依然として緩和的であり、最近では緩和された。長期債利回りはさらに低下し、多くの先進国のインフレ見通し低下や将来の政策金利の低下見通しと一致している。多くの市場ではリスクプレミアムは依然として低い。株式市場も上昇し、企業利益の伸びに支えられている。オーストラリアでは長期債利回りは歴史的低水準に下がり、短期の銀行調達コストはさらに低下した。豪ドルは依然として最近のレンジ内で推移している。交易条件は過去数年間に上昇したが、時間をかけて低下する見通し。
 豪労働市場は依然として強い。雇用は大きく伸び、失業率は4.9%だ、求人率は高いままで、一部では熟練者の不足が報告されている。労働市場が強くなり、賃金の伸びがやや上向いており、歓迎すべき進展だ。労働市場の継続的な改善は時間をかけて賃金の伸びにつながる見込みだが、そのぺースは緩やかになるだろう。
 国内総生産(GDP)統計は労働市場の数値が示すよりも軟調な景気を示している。10~12月期のGDPはわずか0.2%増で、2018年を通じて2.3%増だった。家計消費の伸びは家計実質可処分所得の弱さの長期化や住宅市場の調整の影響を受けている。国の一部の干ばつも農業生産に影響を与えた。こうした要因を相殺しているのが公共インフラ支出の増加や民間投資の増加で、成長見通しを支援している。雇用の緩やかな伸びも同様だ。
 一部都市での大幅な価格上昇後、住宅市場の調整が続いている。状況は依然として弱く、家賃の伸びも低いままだ。一部の借り手の信用状況はこの1年程度でやや逼迫(ひっぱく)した。同時に、住宅市場の投資家による信用需要は大きく減速し、住宅市場の勢いが変わった。居住向けの信用の伸びは鈍化した。住宅ローン金利は依然として低く、高い信用力を持つ借り手をめぐる競争は激しい。
 物価は依然として低く、安定している。基調インフレは今後数年間で徐々に上向く見通しだが、当初予想よりもやや時間がかかる見込み。中心的な基調インフレの見通しは今年が2%、20年が2.25%。短期的には名目物価が原油価格の下落を受けて低下する見通しだが、基調インフレは安定したままになるとみられる。
 低金利が引き続き豪州経済を支援している。失業率の低下やインフレ目標水準への回復が一段と進展すると予想されるが、こうした進展は緩やかになる公算が大きい。入手可能な情報を考慮すると、金融政策を今会合で維持することが妥当と判断した。理事会は引き続き動向を監視し、持続可能な成長の支援と物価目標の達成に向けて金融政策を設定する。

 

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 が付いている欄は必須項目です

CAPTCHA