オーストラリア中央銀行声明全文(2019年3月5日)

2019年3月5日

本日3/5(火)に行われたオーストラリア政策金利発表後のオーストラリア中央銀行声明全文です。(時事通信より転載)

 理事会は本日の会合でキャッシュレート(政策金利)を1.50%に据え置くことを決めた。
 世界経済は2018年にトレンドを上回るペースで成長したが、年後半に減速した。19年に入っても減速は続いた。世界経済の見通しは依然として妥当だが、下方リスクは高まった。貿易の緊張は不確実性のもとになったままだ。中国では景気減速への対応もあり、当局は金融緩和に向け追加措置を講じた。世界的には名目上のインフレ率は原油価格の下落を受けて低下したが、コアインフレは多くの国で上向いた。大半の先進国では失業率は低水準にあり、賃金の伸びも上向いた。
 全般的に世界の金融状況は緩和的なままだ。年替わりに引き締められた後、最近は緩和された。長期債利回りは低下したが、これは多くの先進国の低調なインフレ見通しや将来の政策金利の低下見通しと一致している。株式市場は企業利益の伸びに支えられて上昇した。豪州では銀行の短期資金調達コストは落ち着いたが、数年前に比べるとやや高いままだ。豪ドルは最近の狭いレンジ内にある。交易条件は過去数年間で上昇したが、今後は低下する見通し。
 豪州の労働市場は強いままだ。雇用が大きく伸び、失業率は5%にある。失業率は今後数年間でさらに4.75%まで低下する見通しだ。求人倍率は高水準で、一部では熟練者が不足しているとの報告がある。堅調な労働市場が一部で賃金の伸びの加速につながり、それは歓迎すべき進展だ。労働市場の改善で時間の経過に伴い、賃金の伸びがさらに引き上げられるはずだが、この過程は緩やかになる見込みだ。
 他の指標は豪州経済が18年後半に減速したことを示している。中心的なシナリオは、豪州経済が今年は3%程度で成長することだ。成長見通しは設備投資の増加や高水準の公共インフラ支出、雇用増加で下支えされる。主要な国内の不確実性は引き続き、家計収入の弱い伸びや一部都市の住宅価格下落に絡んだ家計消費の強さだ。ただ、家計所得の伸びの加速は今後の家計支出を支える見通し。
 シドニーとメルボルンの住宅市場は以前の大幅な価格上昇の後、調整が続いている。両市場とも状況は緩慢で、家賃の伸びも低いままだ。一部借り手の信用状況はこの1年程度でさらにやや引き締まった。同時に、住宅市場の投資家による信用需要は目に見えて低下し、住宅市場の勢いが変化した。居住者用の信用の伸びは一段と減速した。住宅ローン金利は低いままで、信用の高い借り手に対する競争が激しい。
 物価は低く、安定したままだ。基調インフレは向こう数年間で上向く見通しだが、そのペースは緩やかで当初の予想よりも時間がかかる。中心的なシナリオでは基調インフレは今年が2%、20年が2.25%。名目物価はガソリン価格の低下により短期的には低下する。
 低金利が引き続き豪州経済を支援している。失業率の低下やインフレ目標水準への回復が一段と進展すると予想されるが、こうした進展は緩やかになる公算が大きい。入手可能な情報を考慮すると、金融政策を今会合で維持することがインフレ率の目標達成と経済の持続的成長を後押しすると判断した。

 

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