2018年9月4日
本日9/4(火)に行われたオーストラリア政策金利発表後のオーストラリア中央銀行声明全文です。(ロイターより転載)
政策理事会は今日、政策金利のキャッシュレートを1.50%に据え置くことを決定した。
世界経済は引き続き拡大している。多くの先進国・地域がトレンドを上回るペースで成長しているほか、失業率は低水準となっている。中国経済は小幅に減速し、当局は金融セクターのリスクに引き続き細心の注意を払いつつ、政策を緩和している。世界的にインフレ率は低水準にとどまっている。とはいえ、一部の国・地域ではインフレ率が上昇しており、引き締まった労働市場を考慮すると一段の上昇が見込まれる。世界の見通しに関する不透明要因の1つは、米国の国際通商政策の方向性から生じている。
金融状況は引き続き緩和的だが、一部の国では徐々にその度合いが低下している。米ドルは今年、幅広く上昇している。
豪州では市場金利が年初の水準から上昇している。ただ、6月末以降は若干低下している。市場金利の上昇は小口預金の金利上昇には波及していない。一部の貸し手は住宅ローン金利を小幅に引き上げたものの、支払われる住宅ローン金利は平均して1年前の水準より低い。
豪経済に関する中銀の中心的な予想は、2018年と19年の国内総生産(GDP)伸び率が平均で3%をやや上回るとの見通しだ。18年前半の豪経済はトレンドを上回るペースで成長したと推定される。景況感は明るく、鉱業以外の設備投資は増加が見込まれる。公共インフラ投資の増加と資源輸出の伸びも経済を下支えしている。
引き続き不透明要因の1つとなっているのは家計消費の見通しだ。家計所得の伸びは緩やかで債務の水準は高い。干ばつは一部の農業セクターの状況を厳しくした。
豪州の交易条件は、一部の商品(コモディティー)価格の上昇を受けてここ数年で改善した。交易条件は今後悪化するとみられる一方、比較的高水準にとどまる見込みだ。
豪ドルは貿易加重ベースで過去2年間のレンジの範囲内にとどまっているが、他の主要通貨と同様に米ドルに対しては下落した。
労働市場の見通しは依然としてポジティブだ。失業率はほぼ6年ぶりの低水準である5.3%に低下した。求人率は高水準で、一部分野は技術者不足を報告している。失業率は向こう2年間に5%前後にさらに緩やかに低下すると見込まれる。
賃金の伸びは最近になってやや上向いたものの、依然として弱い。
経済の改善によって賃金の伸びはいずれ、さらに幾分押し上げられるはずだが、緩やかなプロセスとなる公算が大きい。
インフレ率は2%前後にある。インフレ率が2019年と2020年に現在よりも上昇するというのが中銀の中心的な予想だ。一方、7─9月期の一部管理価格の一時的な下落を反映し、2018年の総合インフレ率は当初予想よりも若干低い1.75%になると予想される。
シドニーとメルボルンの住宅市場の状況は引き続き緩和し、家賃上昇率の全国的な指標も依然として低い。
住宅融資伸び率は年率5.5%に低下した。これは住宅市場の力学が変化する中で、投資家による需要が減退したことが主因だ。
家計のバランスシートにおけるリスクの増大を抑制するために豪健全性規制庁(APRA)が先に実施した監督措置の影響もあり、貸出基準は数年前に比べて厳格化している。信用度の高い借り手を巡る競争が起きている。
低水準の金利は引き続き豪経済を支援している。失業率のさらなる低下とインフレ率の目標水準への回帰が予想されている。ただ、そのペースは緩やかである可能性が高い。
入手可能な情報を考慮した上で、理事会は今回の会合で金融政策スタンスを維持することが、持続可能な経済成長およびインフレ目標の達成と整合的と判断した。