オーストラリア中央銀行声明全文(2018年7月3日)

2018年7月3日

本日7/3(火)に行われたオーストラリア政策金利発表後のオーストラリア中央銀行声明全文です。(ロイターより転載)

 政策理事会は本日、政策金利のキャッシュレートを1.50%に据え置くことを決定した。

 世界経済は引き続き拡大している。多くの先進国・地域がトレンドを上回って成長しているほか、失業率が低水準となっている。中国経済は当局が金融セクターのリスクと成長の持続可能性に一段と注意を払う中で引き続き堅調に成長している。世界的にインフレ率は低水準にとどまっている。とはいえ、一部の国・地域ではインフレ率が上昇しており、引き締まった労働市場を考慮すると一段の上昇が見込まれる。

 世界の見通しに関する不透明感の1つは、米国の国際通商政策の方向性から生じている。主としてその国特有の理由から、新興市場数カ国も圧力を受けている。

 金融状況は引き続き緩和的だが、一部の国では徐々にその度合いが減っている。

 米ドルは幅広いベースで上昇している。

 豪州では、短期のホールセール金利が過去数カ月間に上昇している。これは米国の動向も一因だが、他の要因も同様に作用している。それらの要因がどの程度続くについてはまだ分からない。

 豪経済に関する最近のデータは、引き続き中銀の中心的な予想と一致しており、2018年と2019年に平均で3%を若干上回る見通しだ。

 1─3月期の国内総生産(GDP)は力強く成長し、前年比伸び率は3.1%となった。景況感は明るく、鉱業以外の設備投資はなお増加している。

 公共インフラ投資の増加も経済を下支えしている。

 引き続き不透明要因の1つとなっているのは家計消費の見通しだ。家計所得の伸びは緩やかで債務の水準は高い。

 最近の商品(コモディティー)価格の上昇は国民所得を押し上げている。

 豪州の交易条件は今後数年にわたって悪化するとみられるが、比較的高水準にとどまる見込みだ。

 豪ドルはやや下落したが、依然として過去2年間のレンジの範囲内にとどまっている。

 労働市場の見通しは依然としてポジティブだ。雇用の強い伸びは、労働参加率の著しい上昇を伴っている。求人率は高水準で、他の先行きに関するさまざまな指標は、雇用の堅調な伸びを示している。失業率は過去1年の大半で5.5%程度の水準でほぼ変わらずに推移した後、段階的な低下が予想される。

 賃金の伸びは依然弱い。こうした状況はしばらく続く可能性が高い。ただ、経済成長によって賃金の伸びはいずれ幾分押し上げられるだろう。賃金の伸びは最低の水準は脱したようだ。一部において技術不足の報告が増加している。

 インフレ率は低水準だ。労働コストの低い伸びや小売業の厳しい競争を反映し、インフレ率は当面、低い水準で推移する可能性が高い。ただ、経済の加速に伴い、インフレ率は徐々に上昇するとみられる。CPI上昇率が2018年に2%を若干上回るというのが中銀の中心的な予想だ。

 住宅価格の全国的な状況はここ6カ月間ほとんど変化していない。シドニーとメルボルンの住宅市場は緩やかとなり、両市場とも価格が低下した。住宅信用の伸びは低下し、投資家向けで鈍化が顕著だ。

 融資基準は数年前から引き締められており、豪健全性規制庁(APRA)による監督措置は家計のバランスシートにおけるリスク増大を抑えるのに役立っている。既存融資に対する平均住宅ローン金利はしばらく、低下を続けているが、銀行によって融資基準が一段と引き締められる可能性はある。

 低水準の金利は引き続き豪経済を支援している。失業率のさらなる低下とインフレ率の目標水準への回帰が予想されている。ただ、そのペースは緩やかである可能性が高い。

 入手可能な情報を考慮した上で、理事会は今回の会合で金融政策スタンスを維持することが、持続可能な経済成長およびインフレ目標の達成と整合的と判断した。

 

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