オーストラリア中央銀行声明全文(2017年12月5日)

2017年12月5日

本日12/5(火)に行われたオーストラリア政策金利発表後のオーストラリア中央銀行声明全文です。(時事通信より転載)

 理事会は本日の会合でキャッシュレート(政策金利)を1.50%で据え置くことを決めた。
 世界経済は2017年にわたり改善が続いた。労働市場は引き締まり、不透明感は残るが、多くの先進国で一段とトレンド(長期平均)を上回る成長が見込まれる。中国経済の成長は不動産建設やインフラへの支出拡大に支えられている。ただ、当局が高水準の債務による中期的なリスクに対処しており、金融状況はやや引き締まっている。豪州の交易条件は先行き悪化するが、比較的高水準が続く見込み。
 多くの国でコアインフレ率が伸び悩む中、賃金も伸び悩んでいる。多くの国で金融刺激策がいくぶん緩和されたが、金融状況は依然としてかなり拡張的だ。株式市場は力強く、信用スプレッドも縮小し、金融市場のボラティリティーは低い。世界経済は改善したが、長期債利回りは低いままだ。
 最近の統計では、豪州経済が7~9月期までの1年にわたり過去の平均ペースで成長した。向こう数年間の中心的な国内総生産(GDP)成長率予想は約3%だ。企業の景況感は良好で、設備稼働率も高まった。非鉱業部門の投資見通しは一段と改善し、先行きを示す数値もこれまでより良好になっている。公共インフラ投資の増加も経済を下支えしている。一つの継続的な不透明は、家計消費の見通しだ。家計収入は緩やかな伸びで債務水準は高い。
 雇用は2017年にわたり、力強く成長し、失業率は低下した。全ての州で伸び、労働参加率の上昇を伴った。いくつかの先行指標からは、雇用の伸びが続くことがうかがえる。一部の雇用主が必要な技術を持った労働者を雇用するのが以前よりも困難になったとの報告もある。ただ、賃金の伸びは低いままだ。この状態はしばらく続く公算が大きい。ただ、労働市場が力強さを増せば、賃金の伸びも上振れるはずだ。
 インフレは依然低調で、消費者物価指数(CPI)と基調的インフレ率は2%をやや下回っている。中心的な予想は変わらず、景気が力強くなれば、インフレは緩やかに上向く。
 豪ドルは過去2年間のレンジ内にとどまっている。豪ドル高は経済活動の改善やインフレ率上昇を予想よりも鈍化させる見通しだ。
 住宅債務の伸びのペースはこのところ、家計収入の緩やかな伸びを上回っている。高水準かつ高まる家計債務に絡んだ中期的なリスクを解決するため、豪健全性規制庁(APRA)は多くの監視措置を導入した。信用基準は厳格になり、借り手のリスクが軽減されるようになった。ほとんどの都市では、住宅価格はこの半年間、ほとんど変化がないが、シドニーで緩和した。東部の主要都市では、かなりの追加的な集合住宅の供給が今後数年、見込まれる。ほとんどの都市で賃貸価格の引き上げは低いままだ。
 低金利が豪経済を支援し続けている。入手可能な情報に基づき、金融政策を今回は維持することが、インフレ率の目標復帰や経済の持続的成長を促すと判断した。

 

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