オーストラリア中央銀行声明全文(2017年7月4日)

2017年7月4日

本日7/4(火)に行われたオーストラリア政策金利発表後のオーストラリア中央銀行声明全文です。(時事通信より転載)

 

 理事会は本日の会合で、キャッシュレート(政策金利)を1.50%に据え置くことを決めた。
 世界経済は過去数カ月間、広範に状況が改善した。労働市場は多くの国で引き締まった。世界経済の見通しは昨年以降、上方修正された。不透明感は残るが、複数の先進国でトレンド(長期平均)を上回る成長が見込める。中国では、不動産建設やインフラへの支出拡大に支えられている。ただ、借入金が増え、中期的なリスクになっている。世界経済の改善は、コモディティー(商品)価格上昇を後押し、豪国内総生産(GDP)拡大にもつながった。
 名目的なインフレ率は過去1年間、多くの国で上昇してきたが、最近は原油安を映して低下した。多くの国で賃金の伸びやインフレ率は低調だ。米国では追加利上げが見込まれる。多くの主要経済国では、追加緩和の可能性がなくなった。金融市場は効率的に機能している。
 予想通り、1~3月期の豪実質GDP(国内総生産)は一時要因を反映し、鈍化した。豪経済は徐々に上向くだろう。鉱業投資ブームから、低調な鉱業投資への移行がほぼ完了した。企業景況感は改善し、設備稼働率も上昇した。
企業投資は上向き、鉱業投資減少の影響は直接的には受けていない。また消費の伸びは、実質賃金の伸び悩みや家計負債が高水準なことを受け、低調となっている。
 雇用市場の指標はまちまち。雇用の伸びは過去数カ月、上向いた。先行指標からは、雇用の伸びが続くことがうかがえる。失業率は徐々に低下に向かうだろう。賃金の伸びは引き続き低調で、当面続く可能性が高い。インフレ率は景気改善に伴い、緩やかに上昇するだろう。
 低金利が経済見通しを支えている。2013年以降の豪ドル安も、資源投資ブームからの経済転換を支援している。豪ドル高はそうした調整を阻害する恐れがある。
 住宅市場は、地域でばらつきが大きい。一部の市場では価格上昇が顕著だが、沈静化し始めた兆しがある。その他の市場では価格が下落した。東部を中心に、集合住宅の大量供給が今後数年、見込まれる。賃貸料の伸びは過去数十年で最も低いペースだ。住宅ローンの伸びが、低調な所得の伸びを上回っている。最近発表された監督強化や融資基準強化が、負債上昇に伴うリスクへの対処につながるだろう。金融機関はまた、「インタレスト・オンリー(IO)」と呼ばれる金利のみを当初支払う住宅ローンの利用者や投資家を主に対象にして、住宅ローン金利の引き上げを発表した。
 入手可能な情報に基づき、金融政策を今回は維持することが、インフレ率の目標復帰や経済の持続的成長を促すと判断した。

 

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