FOMC声明全文(2016年11月3日)

2016年11月3日

本日早朝(11/3)に発表されたFOMC声明の全文です。(時事通信より転載)

 米連邦公開市場委員会(FOMC)が9月会合以降に入手した情報は、米労働市場が引き続き強化され、米経済成長が今年前半に見られた緩慢なペースから加速したことを示している。失業率はこの数カ月間、ほとんど変わっていないが、雇用の伸びは堅調だ。家計支出は緩やかに増加したが、設備投資は弱い状況にとどまっている。インフレは年初来、幾分上昇したが、これまでのエネルギー価格と非エネルギー部門の輸入物価の低下を一部反映し、FOMCの2%長期目標を依然下回っている。市場ベースのインフレ調整分の指標は上向いたが、依然低い。調査ベースの長期インフレ期待の指標の大半はこの数カ月ほとんど変わっていない。
 法令で定められた責務に則し、FOMCは雇用の最大化と物価安定の促進を目指している。FOMCは現時点で、金融政策の緩やかな調整により、経済は緩やかなペースで拡大し、労働市場の環境はさらに幾分強固になると予測する。インフレは、これまでのエネルギー価格や輸入物価の下落による一時的な影響がなくなり、労働市場がさらに強固になれば、中期的に2%には向けて上昇すると予想する。景気見通しへの短期的なリスクはおおむね均衡しているようだ。FOMCは引き続き、インフレ指標と国際経済・金融情勢を緊密に注視していく。
 これらの状況を踏まえ、FOMCはフェデラルファンド(FF)金利誘導目標水準を0.25~0.5%に据え置くことを決定した。FOMCは利上げの根拠は引き続き強まっていると判断したが、当面の間、物価・雇用目標の達成に向けた進展を示すあと少しの証拠を待つことを決めた。金融政策の姿勢は引き続き緩和的であり、労働市場環境のさらなる改善とインフレの2%回帰を支える。
 FF金利誘導目標水準の今後の調整時期と規模を判断するに当たって、FOMCは、雇用最大化と2%物価目標に関する経済情勢を、実績と見通しから評価していく。この評価は、労働市場環境に関する指標、インフレ圧力やインフレ期待の指標、金融、国際的な情勢の解釈を含む幅広い情報を考慮する。最近のインフレが2%を下回っていることから、FOMCはインフレ目標に向けた現状の進展と見通しを慎重に見極める。経済情勢は、緩やかな利上げだけを正当化する形で進展すると予測する。FF金利誘導目標水準は一定の間、長期的に予測されている水準を下回るだろう。しかし、実際のFF金利誘導目標水準の先行きはデータが示す経済見通しに依拠する。
 FOMCはエージェンシー債やMBSの償還資金を再投資する既存の政策を維持し、償還を迎える米国債を入札方式で再投資する政策を維持する。これらはFF金利誘導目標水準の正常化が十分に進むまで行う見通し。この相当額の長期証券保有を継続する政策は、金融市場の緩和状態の維持を支えるはずだ。
 FOMCの金融政策に賛成票を投じたのは、イエレンFOMC委員長(FRB議長)、ニューヨーク連銀のダドリー総裁、ブレイナードFRB理事、セントルイス連銀のブラード総裁、フィッシャーFRB副議長、パウエルFRB理事、ボストン連銀のローゼングレン総裁、タルーロFRB理事。
カンザスシティー連銀のジョージ総裁とクリーブランド連銀のメスター総裁は反対票を投じ、それぞれ今会合でFF金利誘導目標水準を0.5~0.75%に引き上げることを提案した。