オーストラリア中央銀行声明全文(2016年5月3日)

2016年5月3日

本日5/3(火)に行われたオーストラリア政策金利発表後のスティーブンス総裁RBA総裁声明全文です。
(時事通信より転載)

 理事会は本日の会合で、キャッシュレート(政策金利)を0.25%引き下げ、1.75%に改定した。インフレ圧力が予想外に弱いとの指標を受けた措置だ。
 世界経済の成長は緩やかなペースで進んでいるが、予想よりはペースが鈍い。複数の予想が最近、下方修正された。複数の先進国で経済状況が改善したが、多くの新興国経済では経済状況が厳しさを増した。中国では今年に入り、成長率が一段と緩やかになった。ただ、中国当局の最近の対応が、短期的見通しを支えている。
 商品価格は最近の安値から大きく改善した。しかし、過去数年間には大幅な下落を記録している。オーストラリアの交易条件は過去数年間に比べ低水準にとどまっている。
 金融市場の地合いは改善した。今年に入りボラティリティーが高まっていた。経済の不透明感は残り、主要国の金融政策の方向性は依然不明確だ。信頼度が高い借り手の資金調達コストは極めて低い。世界的には、金融政策は引き続き極めて緩和的だ。
 豪州では、データからみて、鉱業ブームからのリバランス(再均衡)が続いている。2015年の国内総生産(GDP)伸び率は下半期を中心に上向いた。労働市場も好転した。16年も成長が続くが、より緩やかなペースになる可能性が高い。労働市場の最新指標はまちまちになっている。
 インフレ率は極めて低く、最新データも予想外に低かった。雇用コストの伸びは著しく低調だ。世界的にもインフレ率は低い。インフレ率は従来予想より低水準で推移する見通しだ。
 緩和的金融政策を実施してきた。低金利は消費を後押ししている。全般的な豪ドル安が貿易部門を支援している。家庭向け信用の伸びが緩やかに続いている。企業向けでも昨年あたりに上向いた。こうした要因が、不可欠な経済的な調整を支援している。しかし、豪ドル高がそれを複雑にしてしまう恐れがある。
 住宅市場の動向を注視している。監視措置の効果で融資基準が厳格化されており、価格上昇圧力は弱まりつつある。現時点では、住宅市場にもたらす利下げリスクは、1年前に比べ小さくなった。
 以上の環境を踏まえ、理事会は、利下げによって、経済の持続的成長見通しが上向くと判断した。インフレ率は目標(2~3%)水準に近づくだろう。

 

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