2016年3月11日

・昨日のECB政策金利発表でこれまで緩和についての発言を繰り返していて、市場が期待していた緩和策よりも踏み込んだ内容だったことで、発表直後はユーロは売られました。
しかしドラギECB総裁の「現在の見通しに基づき一段の利下げを予想しない」との発言が伝わると一気にユーロ買いの流れが強まって高値と安値では350pipsもの下落となり、ユーロ買いはNYクローズまで続きました。
またドル円も高値の114.44から安値の112.61まで183pipsもの大幅下落となりました。

昨日の定例理事会声明要旨
・量的緩和、資産購入規模を月６００億ユーロから８００億ユーロに増額し、２０１７年３月末まで継続（従来通り）、必要に応じて延長も。
・資産購入を円滑に進めるため、購入対象債券の発行者を拡大し、国際機関や開発銀行など適格機関の発行する債券の購入比率上限を３３％から５０％に緩和する。
・ユーロ圏の非金融機関が発行する投資適格級のユーロ建て債券を、購入対象資産に新たに追加。
・６月から新たな条件付き長期資金供給オペ（ＴＬＴＲＯ２）を開始。満期４年で、中銀預入金利を最低金利に。
・政策金利、現行水準かさらに低い水準が長期間続くと予想。
・原油相場の影響で、今後数カ月は極度の低インフレやマイナス物価が避けがたい。
・今後の景気回復、穏やかなペースで続く。
・原油安、家計の可処分所得の増加を通じ、内需を支援。
・ユーロ圏の景気回復、新興国経済の鈍化や金融市場の混乱、複数セクターのバランスシート調整の必要性などが引き続き重しに。
・ユーロ圏のインフレ率、今後数カ月はマイナス圏が続くが、１６年後半には上向くと予想。
インフレ見通しの下方修正、最近の原油安が要因。

★ドラギECB総裁会見は、ドラギECB総裁会見全文（2016年3月11日）の記事に載せています。
（下線部分をクリックすると、該当記事が別ウィンドウで開きます。）

ユーロ・ドル（チャートは7:00時点）
・昨日の欧州時間は1.0960-85で上下して21：45のECB政策金利発表の時は1.0960でした。
発表で1.0960から1.0860まで急落し、更に下げて22：40には1.0820まで下落しました。
しかしドラギECB総裁会見が始まると上げ始めて、「現在の見通しに基づき一段の利下げを予想しない」との発言が伝わると一気に急伸して23：10には1.1114まで上昇しました。
その後もユーロ買いが続いて02：40には1.1218まで上昇した後は小幅押し戻されて1.1170近辺での小動きとなって、1.1180でNYクローズとなり、22：40の安値1.0820から02：40の高値1.1281まで350pips動きました。

左：ユーロ・ドル－5分足　右：ユーロ・ドル－1時間足
　

左：ユーロ・ドル－日足

ドル円（チャートは7:00時点）
・昨日のドル円は欧州時間は113.40-65で上下して21：45のECB政策金利発表の時は113.53でした。
発表で113.53から113.93まで急伸し、更に上げて22：40には114.44まで上昇しました。
しかしドラギECB総裁会見が始まると下げ出して、「現在の見通しに基づき一段の利下げを予想しない」との発言で更に下げ足を速めて23：10には113.55まで下落しました。
その後戻して00：00には114.22まで上昇しましたが、NY株が下げ出したことやユ－ロが急速に買われ出したことによるドル売りでドル円も下げ出して02：40の112.61まで速いスピードで下げ続けました。
そこからは戻して05：30には113.29まで上昇し、113.15でNYクローズとなり、22：40の高値114.44から02：40の安値112.61まで183pips動きました。

左：ドル円－5分足　右：ドル円－1時間足
　

左：ドル円－日足

米国10年債権利回り（チャートは7:00時点）
ECB発表から利回りは上げ始めて02：00には1.952%まで上昇し、その後は高値圏での小動きのまま7時となりました。

左：米国10年債権利回り－1時間足　右：米国10年債権利回り－日足
　

昨日のNY株式市場
ＮＹ ＤＯＷ 　16,995.13(-5.23)
ＮＡＳＤＡＱ　 4,662.16(-12.22)
・昨日のNY株は序盤はECBの政策金利の引き下げや資産購入規模の拡大などを受けて上昇していましたが、ドラギECB総裁が「さらなる利下げが必要になるとは予想していない」などの発言から売られてマイナスとなり、その後は軟調な推移でダウ・ナス共に小幅安となりました。

左：DOW－日足　右：NASDAQ－日足