オーストラリア中央銀行声明全文(2023年11月7日)

2023年11月7日

本日11/7(火)に行われたオーストラリア政策金利発表後のオーストラリア中央銀行声明全文です。(ロイターより転載)

 本日開催された理事会では、キャッシュレートの目標を25ベーシスポイント(bp)引き上げ、4.35%とすることを決定した。為替決済残高に支払われる金利も25bp引き上げ、4.25%とする。

 オーストラリアのインフレ率はピークを過ぎたが、依然として高水準であり、数カ月前の予想よりも根強いものとなっている。直近のインフレに関する指標によると、製品価格の伸びは一段と緩和しているが、多くのサービス価格は大幅な上昇が続いている。中心的な予測では消費者物価指数(CPI)伸び率は引き続き鈍化するとされているが、その進展は当初の予想よりも緩やかなものになりそうだ。現在、CPI伸び率は2024年末までに約3.5%となり、25年末までに目標レンジ(2─3%)の上限になると予想されている。理事会は、インフレ率が合理的な時間枠内で目標に戻ることをより確実にするため、本日金利を引き上げることが正当化されると判断した。

 理事会は昨年5月から4%ポイント金利を引き上げた後、今年6月以降金利を据え置いた。金利据え置きにあたっては、最近の利上げが経済の需給バランスをより持続可能なものにすることにつながったと判断した。利上げの影響が引き続き経済全体に波及していくことにも留意した。これを踏まえ、これまでの利上げの影響を評価する時間を設けるため金利を据え置くことが適切と決定した。その際、世界経済や家計消費の動向、インフレと労働市場の見通しに細心の注意を払うとした。

 8月の会合以降、理事会はインフレ率、労働市場、経済活動などに関する最新情報を得た。これらの情報は、インフレがより長期間より高い水準にとどまるリスクが高まったことを示唆している。経済はトレンドを下回る局面にあるが、今年前半は予想以上に堅調だった。8月の予想時点では、広範なサービスを含め、基調インフレ率は予想を上回った。労働市場は緩和しているが、依然として引き締まった状況にある。住宅価格は全国的に上昇を続けている。

 同時に、高インフレが人々の実質所得を圧迫し、家計消費の伸びは弱く、住宅投資も低調だ。経済成長率がトレンドを下回ると予想されることから、雇用の伸びは労働力人口の伸びよりも低くなり、失業率は4.25%程度まで緩やかに上昇すると予想される。これは従来の予想よりも緩やかな上昇だ。賃金の伸びはこの1年で回復しているが、生産性の伸びが上向けばなおインフレ目標に合致している。

 理事会の優先事項はインフレ率を合理的な時間枠内で目標に戻すことだ。高インフレは全ての人の生活を困難にし、経済の機能を損なう。貯蓄の価値を損ない、家計を苦しめ、企業の計画や投資を困難にし、所得格差を悪化させる。高インフレが人々の期待に定着すれば、金利をさらに引き上げ失業率が一段と上昇することになるため、後でインフレ率を下げるにはよりコストがかかる。これまでのところ中期のインフレ期待はインフレ目標と整合的であり、この状態を維持することが重要だ。

 見通しには大きな不確定要素がある。海外ではサービス価格の上昇が驚くほど持続しており、オーストラリアでも同じことが起こる可能性がある。また金融政策の効果の遅れのほか、労働市場が引き締まっている時期に企業の価格決定と賃金が景気減速にどのように反応するかについても不確実性がある。個人消費の先行きも不透明な要因だ。多くの世帯が家計を圧迫する痛みを経験している一方で、住宅価格の上昇や貯蓄のかなりのゆとり、金利収入の増加などの恩恵を受けている世帯もある。世界的には、中国経済の先行きや海外紛争の影響など、依然として高い不透明感がある。

 インフレ率が合理的な期間内に確実に目標値に戻るようにするために金融政策をさらに引き締める必要があるかどうかは、データとリスク評価次第だ。決定に当たっては世界経済の動向、個人消費の傾向、物価と労働市場の見通しにこれからも細心の注意を払っていく。インフレ率を目標に戻すという決意に変わりはなくそのために必要なことを行う。

 

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