オーストラリア中央銀行声明全文(2023年10月3日)

2023年10月3日

本日10/3(火)に行われたオーストラリア政策金利発表後のオーストラリア中央銀行声明全文です。(ロイターより転載)

 本日開催された理事会では、キャッシュレートの目標を4.10%に据え置くことを決定した。為替決済残高に支払われる金利も4.00%に据え置く。

 昨年5月以来、金利は4%ポイント引き上げられた。金利の引き上げは、経済の需給バランスをより持続可能なものにすることにつながっており、今後もこれは続く。こうした状況と経済見通しを巡る不確実性を踏まえ、理事会は今月も金利を据え置くことを決定した。これによりこれまでの利上げの影響と経済見通しを見極めるための時間をさらに確保できる。

 オーストラリアのインフレ率はピークを過ぎたが依然として高水準で、まだしばらくはこの状態が続くだろう。インフレに関する指標によると製品価格の伸びは一段と緩和しているが、多くのサービス価格は大幅な上昇が続き燃料価格も最近著しく上昇している。家賃の伸びも高止まりしている。消費者物価指数(CPI)の上昇率は今後も縮小し、2025年終盤には2─3%の目標範囲内に戻るというのが中心的な予測だ。

 上半期の豪経済の成長率は予想をやや上回った。しかし経済はトレンドを下回る局面にあり、これはしばらく続く見込みだ。高インフレが人々の実質所得を圧迫し、家計消費の伸びは弱く、住宅投資も低調だ。にもかかわらず労働市場の状況は若干緩和されたとはいえ、依然として非常に引き締まった状況だ。経済と雇用はトレンドを下回る伸びが見込まれるため、失業率は徐々に上昇し、来年後半には4.5%程度になると予想される。賃金の伸びはこの1年で回復しているが、生産性の伸びが上向けばなおインフレ目標に合致している。

 理事会の優先事項はインフレ率を合理的な時間枠内で目標に戻すことだ。高インフレは全ての人の生活を困難にし、経済の機能を損なう。貯蓄の価値を損ない、家計を苦しめ、企業の計画や投資を困難にし、所得格差を悪化させる。また高インフレが人々の期待に定着すれば、金利をさらに引き上げ失業率が一段と上昇することになるため、後でインフレ率を下げるには非常にコストがかかる。これまでのところ中期的なインフレ期待はインフレ目標と整合的であり、この状態を維持することが重要だ。

 最近のデータは、インフレ率が予想期間中に2─3%の目標範囲に戻り、生産と雇用が拡大を続けることと整合的だ。インフレ率は低下しており、労働市場は引き続き堅調で、経済成長率は鈍化しているが設備稼働率は高水準で推移している。

 見通しには大きな不確定要素がある。海外ではサービス価格の上昇が驚くほど持続しており、オーストラリアでも同じことが起こる可能性がある。また金融政策の効果の遅れのほか、労働市場が引き締まっている時期に企業の価格決定と賃金が景気減速にどのように反応するかについても不確実性がある。個人消費の先行きも不透明な要因だ。多くの世帯が家計を圧迫する痛みを経験している一方で、住宅価格の上昇や貯蓄のかなりのゆとり、金利収入の増加などの恩恵を受けている世帯もある。世界的には、不動産市場のストレスにより中国経済の先行きには依然として高い不透明感がある。

 インフレ率が合理的な期間内に確実に目標値に戻るようにするために、金融政策の幾分のさらなる引き締めが必要になる可能性がある。だ がそれは今後もデータとリスク評価次第だ。決定に当たっては世界経済の動向、個人消費の傾向、物価と労働市場の見通しにこれからも細心の注意を払っていく。インフレ率を目標に戻すという決意に変わりはなく、そのために必要なことを行う。

 

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