オーストラリア中央銀行声明全文(2023年6月6日)

2023年6月6日

本日6/6(火)に行われたオーストラリア政策金利発表後のオーストラリア中央銀行声明全文です。(ロイターより転載)

 本日開催された理事会では、キャッシュレートの目標を25ベーシスポイント(bp)引き上げ4.10%とすることを決定した。また、為替決済残高に支払われる金利を25bp引き上げ4.00%とした。

 オーストラリアのインフレ率はピークを過ぎたが7%とまだ高すぎ、目標範囲に戻るにはまだ時間がかかるだろう。今回のさらなる利上げはインフレ率が妥当な期間内に目標に戻るという確信を深める。

 高インフレは人々の生活を困難にし経済の機能を損なう。貯蓄の価値を損ない、家計を苦しめ、企業の計画や投資を困難にし、所得格差を悪化させる。また高インフレが人々の期待に定着すれば、金利をさらに引き上げ失業率が一段と上昇することになるため、後でインフレ率を下げるには非常にコストがかかる。最近のデータは、インフレ見通しに対する上方リスクが高まっていることを示しており、理事会はこれに対応している。製品価格の伸びは減速しているが、サービス価格の上昇率は依然として非常に高く、海外では非常に持続的であることが証明されている。単位労働コストも力強く上昇しており、生産性の伸びは依然として緩やかだ。

 豪経済の成長は鈍化し、労働市場の状況は緩和されたが依然として非常に引き締まった状況だ。4月の失業率は3.7%とわずかに上昇し雇用の伸びは緩やかになった。求人・広告が依然として非常に高い水準にあるが、労働力不足は緩和されたと企業は報告している。

 労働市場の逼迫と高インフレを受けて賃金の伸びは上向いている。公共部門の賃金の伸びはさらに高まると予想され、賞与の前年比増加率は昨年を上回った。全体としては、生産性の伸びが回復すれば、賃金の伸びはなおインフレ目標に合致している。

 経済の余剰能力は限られ失業率がなお極めて低いことを踏まえ、理事会は高いインフレ予想が物価と賃金の上昇につながるリスクを引き続き警戒している。従って労働コストの推移と企業の価格設定行動に今後も細心の注意を払っていく。

 インフレ率を2─3%の目標範囲に戻しながら経済を安定させることを目指しているが、軟着陸を達成するための道筋は依然として狭い。不確実性の大きな要因は引き続き個人消費の見通しだ。金利上昇と生活費の圧力は個人消費の大幅な鈍化を招いている。住宅価格が再び上昇し、貯蓄に余裕のある世帯もあるが、家計の圧迫による痛みを感じている世帯もある。世界経済も不透明で、今後2年程度(couple of years)は平均以下の成長率になると予想される。

 インフレ率が合理的な期間内に確実に目標値に戻るようにするために金融政策のさらなる引き締めが必要になる可能性があるが、それは経済とインフレがどのように推移するかによる。世界経済の動向、個人消費の傾向、物価と労働市場の見通しにこれからも細心の注意を払っていく。インフレ率を目標に戻すという決意に変わりはなく、そのために必要なことを行う。

 

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