オーストラリア中央銀行声明全文(2021年11月2日)

2021年11月2日

本日11/2(火)に行われたオーストラリア政策金利発表後のオーストラリア中央銀行声明全文です。(ロイターより転載)

 本日開催された理事会で以下の通り決定した。
 1)キャッシュレートの目標値を10ベーシスポイント(bp)に維持し、為替決済残高の金利を0%に維持する。 2)週40億ドルのペースで国債を購入し、少なくとも2022年2月中旬まではこのペースで購入を継続する。 3)2024年4月償還債の利回り10bpを目標とする措置を打ち切る。

 国内経済の回復はデルタ株の流行によって中断されたが、その後は上向きつつある。ワクチン接種率がさらに上昇し制限が緩和されれば、経済は比較的速やかに立ち直るはずだ。中心的な予想では、国内総生産(GDP)伸び率は2021年が3%で、その後の2年はそれぞれ5.5%、2.5%になる見通し。不確実な要素は引き続き、公衆衛生面で問題が生じる可能性だ。

 デルタ株流行により、豪州の労働時間は大幅に減少したが、今では回復しつつある。中銀の企業調査と求人データは、多くの企業が人員を採用しようとしていることを示しており、向こう数カ月の雇用を後押しするだろう。中心的な予想では、失業率は今後数年間に低下し、2022年末には4.25%、2023年末には4%となる見通し。

 インフレ率は上向いたが、基調ベースでは2.1%となお低水準にとどまっている。総合消費者物価指数(CPI)の伸び率は3%で、石油価格上昇や新築住宅価格の上昇、世界の供給網の混乱により影響を受けている。基調インフレ率は今後さらに加速するが、ごく段階的なものになるだろう。中心的な予想では、基調インフレ率は2021─22年が2.25%前後、2023年が2.5%の見通し。労働市場の逼迫に伴い、賃金の伸びは緩やかに上向く見込みだ。賃金価格指数は、2022年に2.5%、2023年に3%上昇すると予想される。世界の供給網の混乱長期化と、失業率がここ数十年で最も低い中での賃金動向が、主な不透明要因だ。

 住宅価格は大半の市場で引き続き上昇しており、住宅購入者と投資家の両方による借り入れ需要の高まりにより、住宅ローンの伸びは上向いた。APRA(豪健全性規制庁)が最近、借り手のローン返済能力を審査する際に銀行が用いる金利バッファーの最低水準を引き上げる決定をしたことを、準備銀行は歓迎する。歴史的な低金利の下、貸し出し基準を維持することが重要だ。

 豪州の金融の状況は引き続き極めて緩和的であり、大半の貸出金利は過去最低水準にある。国債利回りは最近上昇し、債券市場のボラティリティーもかなり高まった。為替レートはやや上昇したが、ここ1年のレンジ内に引き続き収まっている。

 利回り目標廃止の決定は、経済が改善していることや、インフレ目標達成への進展具合が想定より早いことを反映している。他の市場金利がインフレ率上昇と失業率低下の見通しに反応して動いていることを踏まえると、豪州の金利を全般的に押し下げる上での利回り目標の効果は後退した。

 オーストラリアの完全雇用の回復と目標に沿ったインフレ率を達成するために、理事会は非常に緩和的な金融条件を維持することを約束する。インフレ率は上向いたが、基調ベースでは引き続き低水準だ。豪州の賃金の伸びがごく緩やかであることから、インフレ圧力は他の多くの国ほど強くはない。

 実際のインフレ率が持続的に2─3%の目標範囲内に収まるまで、キャッシュレートの引き上げは行わない。このためには、労働市場が引き締まり、賃金の伸びが現在の水準から大幅に拡大する必要がある。これには時間がかかるだろう。中心的な予想では、基調インフレ率は2023年末時点で2.5%程度であり、賃金もごく緩やかに伸びるとみられる中、理事会は忍耐強く対応する用意がある。

 

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