オーストラリア中央銀行声明全文(2021年10月5日)

2021年10月5日

本日10/5(火)に行われたオーストラリア政策金利発表後のオーストラリア中央銀行声明全文です。(ロイターより転載)

 本日開催された理事会で以下の通り決定した。
1)キャッシュ・レートの目標値を10ベーシスポイント(bp)に維持し、為替決済残高の金利を0%に維持する。
2)2024年4月の豪国債の利回り目標を10bpに維持する。 3)週40億ドルのペースで国債を購入し、少なくとも2022年2月中旬まではこのペースで購入を継続する。

 国内経済の回復はデルタ株の流行によって中断された。第3・四半期の国内総生産(GDP)は大幅に減少すると予想されている。デルタ株は経済の大半に影響を与えているが、影響は一様ではなく、非常に厳しい状況に直面しているところもあれば、力強い成長を続けているところもある。

 このような景気拡大の後退は一時的なものにとどまるとみられる。ワクチン接種率がさらに上昇し制限が緩和されれば、経済は立ち直るはずだ。多くの企業が今、制限緩和に向けて計画を進めており、信頼感はかなりよく持ちこたえている。しかし、この回復の時期とペースについては不確実性があり、年初に比べて遅くなる可能性がある。活動制限の緩和に大きく左右される。中銀の中心シナリオでは、経済は第4・四半期に再び成長し、来年の下半期にはデルタ株流行以前の軌道に戻ると予想している。

 行動制限は労働市場に大きな影響を及ぼした。労働市場の現状を測る最良の指標である労働時間は、8月に4%近く減少した。先行きについては、中銀の企業調査と求人データは、多くの企業が10月と11月に見込まれる経済再開を前に人員を採用しようとしていることを示している。

 国内の賃金や物価の上昇圧力は依然として抑制されている。基調的なインフレ率は1.75%前後で、賃金価格指数は1.7%の上昇にとどまっている。世界のサプライチェーンの混乱が一部のモノの価格に影響しているが、全体のインフレ率への影響は引き続き限定的だ。

 住宅価格は引き続き上昇しているが、新型コロナ発生後、一部の市場では売買が減少している。また、住宅購入者と投資家の両方による借り入れ需要の高まりにより、住宅ローンの伸びは回復している。金融規制協議会(CFR)は、歴史的な低金利の中、急速な信用の伸びがマクロ経済の安定に及ぼす中期的なリスクについて議論している。こうした環境の下、貸し出し基準を維持し、適切な融資返済余力を保つことが重要だ。

 過去最低水準の金利、債券買い入れプログラム、利回り目標、ターム資金調達ファシリティー(TFF)による資金供給を含む中銀の政策パッケージは、オーストラリア経済に実質的かつ継続的な支援をもたらしている。借入金利は過去最低水準で、国債利回りは非常に低い水準にある。為替レートはここ数カ月で下落した。また、豪連邦政府や州・準州政府による財政対応も、家計や企業のバランスシートを支える上で歓迎すべき支援となっている。

 オーストラリアの完全雇用の回復と目標に沿ったインフレ率を達成するために、理事会は非常に緩和的な金融条件を維持することを約束する。実際のインフレ率が持続的に2─3%の目標範囲内に収まるまで、キャッシュレートの引き上げは行わない。経済の中心シナリオは、この条件が2024年までに達成されないというものだ。この条件を満たすためには、労働市場が引き締まり、賃金の伸びが現在の水準から大幅に拡大する必要がある。

 

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