オーストラリア中央銀行声明全文(2020年9月1日)

2020年9月1日

本日9/1(火)に行われたオーストラリア政策金利発表後のオーストラリア中央銀行声明全文です。(ロイターより転載)

 本日開催された理事会において、キャッシュレートと3年物国債利回りの目標値を25ベーシスポイント(bp)に据え置くことを決定した。また、ターム物資金調達ファシリティー(TFF)の規模を拡大し利用期間を長期化することも決定した。
 TFFの拡大により、預金受入金融機関は3年間25bpの固定金利で、信用残高の2%の追加的な資金調達が可能になる。2021年6月末までこの追加資金を利用することができる。
 この延長により、信用残高の最大3%とした当初の制度が終了する9月末以降もTFFへのアクセスを確保することができる。企業向け貸し出しの拡大に関連した追加的な資金調達も、2021年6月末まで利用できるようになった。詳細は添付の通知に記載した通り。
 現在までに、金融機関はTFFの下で520億ドルを借り入れており、今後数週間の間に一段の利用が見込まれる。本日の変更により、このファシリティーの下で利用可能な総額は約2000億ドルとなる。これは借り手の金利を低水準に維持することに寄与する。また金融機関の低コストによる継続的な資金調達への安心感を高めることで信用供与を支援する。
 TFFなど豪中銀が3月中旬に打ち出した一連の政策は、豪経済の支援している。オーストラリアの金融システムは非常に高水準の流動性が保たれ、借入金利は過去最低水準にある。国債市場は発行量が大幅に増加する中で正常に機能している。
 豪中銀は先月、3年物国債の利回りを目標である25bpに維持するために、さらに100億ドルの豪政府証券(AGS)を購入した。3月以降、合計で610億ドルの国債を購入している。今後も必要に応じて追加購入を行う。利回り目標は、完全雇用とインフレ率の目標達成に向けて進展があるまで据え置かれる。
 世界的には、2020年前半の非常に厳しい収縮を経て、景気回復が不均一な形で進行している。回復の今後の道筋は新型コロナウイルスの封じ込めに大きく左右される。陽性率の高止まりや上昇により、一部の国では最近、成長の勢いが失われている。対照的に中国では経済成長が比較的堅調に推移している。
 金融市場では、経済見通しの不確実性が高いにもかかわらず、ボラティリティーは低く、多くの資産の価格は大幅に上昇している。債券利回りは歴史的に低い水準にとどまっている。米ドルはここ数カ月、ほとんどの通貨に対して下落している。このような状況と商品価格の上昇を受けて、豪ドルは約2年ぶりの高値付近へ上昇した。
 豪経済は非常に困難な時期を迎えており、1930年代以来最大の縮小を経験している。このように厳しい状況ではあるが、景気の落ち込みは当初の予想ほど深刻ではなく、現在国内のほとんどの地域で回復が進んでいる。しかしビクトリア州での新型コロナ感染拡大が同州経済に大きな影響を与えていることから、この回復は不均一で起伏の多いものとなる可能性が高い。
 6月と7月の雇用は増加したが、失業率と不完全雇用は依然として高水準だ。より広範な総需要の伸び鈍化とビクトリア州での新型コロナ感染拡大は、労働市場の本格的な回復には数カ月かかる可能性が高いことを意味している。中銀の中心シナリオでは、失業率は2020年後半に10%前後まで上昇し、その後徐々に低下して2年後には7%前後まで低下すると見込まれている。
 賃金と物価の上昇圧力は依然として抑えられており、この状況はしばらく続く公算が大きい。インフレ率は今後数年間、平均で1─1.5%になると予想されている。  経済は、過去6カ月間の実質的かつ協調的で前例のない政策緩和によって支えられている。財政政策も重要な役割を果たしている。オーストラリアの公的部門の財政状況は良好な状態にあり、これが継続的な支援を可能にしている。実際、経済の見通しや高い失業率予想を踏まえると、財政・金融面での支援はしばらくの間必要となる。さらに、バランスシートが良好で、高水準の流動性が利用可能な国内の金融機関が景気回復に寄与している。
 理事会は、オーストラリアの雇用、所得、企業を支援するためにできることを行うことを約束している。本日のTFFの延長を含め、理事会の措置は資金調達コストを低く抑え、家計や企業への信用供給を支援している。理事会は必要とされる限り高度に緩和的な状況を維持し、さらなる金融措置が景気回復をどのように支援できるかを引き続き検討していく。完全雇用に向けて進展があり、インフレ率が2─3%の目標値の範囲内で持続的に推移すると確信するまでは、キャッシュレートの目標値を引き上げない。

 

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