オーストラリア中央銀行声明全文(2017年11月7日)

2017年11月7日

本日11/7(火)に行われたオーストラリア政策金利発表後のオーストラリア中央銀行声明全文です。(時事通信より転載)

 理事会は本日の会合で、キャッシュレート(政策金利)を1.50%で据え置くことを決めた。
 世界経済は改善が続いた。労働市場は引き締まり、不透明感は残るが、多くの先進国で一段とトレンド(長期平均)を上回る成長が見込まれる。不動産建設やインフラへの支出拡大に支えられている。ただ、高水準の債務が中期的なリスクになっている。豪州の交易条件は今後悪化するが、比較的高水準が続く見込み。
 多くの国でコアインフレ率が伸び悩む中、賃金も伸び悩んでいる。名目的なインフレ率はおおむね原油安を反映して、今年初めよりも低下した。米国では連邦準備制度理事会(FRB)がバランスシートの正常化のプロセスを始め、追加利上げも見込まれる。他の多くの主要国では、緩和の度合いがやや低下した。株式市場は力強く、信用スプレッドも縮小し、金融市場のボラティリティーは低い。
 オーストラリア経済の成長見通しに関するRBAの見通しはおおむね変わっていない。国内総生産(GDP)成長率が上向き、向こう数年間の平均が約3%になると予想している。企業の景況感は良好で、設備稼働率も上昇した。
非鉱業部門の投資見通しは改善し、先行きを示す数値もこれまでより良好になっている。インフラ投資計画も高水準だ。これに対し、実質賃金の緩やかな伸びや家計の高水準の債務が家計部門の支出の伸びを抑制する公算が大きい。
 雇用は過去数カ月、力強く成長し続けた。全ての州で伸び、労働参加率の上昇を伴った。先行指標からは、雇用の伸びが続くことがうかがえる。失業率は現在の5.5%の水準から緩やかに低下に向かうだろう。賃金の伸びは低いままだ。この状態はしばらく続く公算が大きい。ただ、労働市場が力強さを増せば、賃金の伸びも上振れるはずだ。
 インフレは依然低調で、消費者物価指数(CPI)と基調的なインフレ率は2%をやや下回っている。基調的には、労働コストの緩やかな伸びや小売業界を中心とした競争的な圧力を反映し、インフレはしばらく低調な水準で推移する公算が大きい。CPIはたばこや電力の価格上昇が押し上げている。RBAの中心的な予想は、経済が強くなるのに従い、インフレが緩やかに上向くことだ。
 豪ドルが年半ば以降上昇したのはドル安が一因だ。豪ドル高は引き続き物価圧力抑制につながる。生産や雇用見通しも圧迫する。豪ドル高は経済活動の改善やインフレ率上昇を予想よりも鈍化させる見通しだ。
 住宅債務の伸びのペースはこのところ、家計収入の緩やかな伸びを上回っている。高水準かつ高まる家計債務に絡んだ中期的なリスクを解決するため、豪健全性規制庁(APRA)は多くの監視措置を導入した。信用基準は厳格になり、借り手のリスクが軽減されるようになった。住宅市場の状況はシドニーで一段と緩和した。ほとんどの都市では、住宅価格はこの数カ月間、ほとんど変化がない。ただ、メルボルンでは依然として上昇している。東部の主要都市では、かなりの追加的な集合住宅の供給が今後数年、見込まれる。最近の上昇はほとんどの都市で低水準のままだ。
 低金利が豪経済を支援し続けている。入手可能な情報に基づき、金融政策を今回は維持することが、インフレ率の目標復帰や経済の持続的成長を促すと判断した。

 

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