オーストラリア中央銀行声明全文(2017年8月1日)

2017年8月1日

本日8/1(火)に行われたオーストラリア政策金利発表後のオーストラリア中央銀行声明全文です。(時事通信より転載)

 

 理事会は本日の会合で、キャッシュレート(政策金利)を1.50%に据え置くことを決めた。
 世界経済は過去数カ月間、広範に状況が改善した。労働市場は多くの国で引き締まった。世界経済の見通しは昨年以降、上方修正された。不透明感は残るが、複数の先進国でトレンド(長期平均)を上回る成長が見込める。中国では、不動産建設やインフラへの支出拡大に支えられている。ただ、借入金が増え、中期的なリスクになっている。世界経済の改善は、コモディティー(商品)価格上昇を後押し、豪国内総生産(GDP)拡大にもつながった。
 名目的なインフレ率は過去1年間、多くの国で上昇しており、コアインフレ率も上昇した。名目的なインフレ率上昇は原油安が主因だ。米国では追加利上げが見込まれる。多くの主要経済国では、追加緩和の可能性がなくなった。金融市場は効率的に機能している。
 豪経済の成長見通しは総じて変化していない。今後数年間は年率3%前後の成長が続くと予想する。複数の大型液化天然ガス(LNG)プロジェクトが完成が近づいた。鉱業投資ブームから、低調な鉱業投資への移行がほぼ完了した。企業景況感は改善し、設備稼働率も上昇した。
 非鉱業部門の設備投資額は若干増加する見通しだ。住宅建設はしばらく現行のように高水準で推移した後、徐々に減速するだろう。国内経済で不透明要因になっているのが、消費の先行きだ。小売売上高は最近上向いた。一方で、実質賃金の伸び悩みや家計の負債率上昇が消費拡大を抑制する可能性が高い。
 雇用の伸びは過去数カ月、上向いた。全ての州で伸びが確認された。先行指標からは、雇用の伸びが続くことがうかがえる。失業率は今後数年で若干低下に向かうだろう。しかし、賃金の伸びは引き続き低調で、当面続く可能性が高い。
 最近のインフレ統計はおおかた、RBAの予想通り。インフレ率、基調インフレ率ともに2%弱で推移している。
インフレ率は経済が上向くにつれ、徐々に上昇するだろう。電気やたばこ価格の上昇が、インフレ率を押し上げる。逆の方向(インフレ率低下)を招く要因は、小売業界への新規参入で(安値)競争が激化していることだ。
 豪ドルが最近上昇したのは、ドル安が一因だ。豪ドル高は物価圧力抑制につながり、生産や雇用見通しにも悪影響を与える。豪ドル高は経済活動の改善鈍化を招く。インフレ率上昇を想定より抑制する可能性もある。
 住宅市場は、地域でばらつきが大きい。一部の市場では価格上昇が顕著だが、沈静化し始めた兆しがある。その他の市場では価格が下落した。東部を中心に、集合住宅の大量供給が今後数年、見込まれる。賃貸料の伸びは過去数十年で最も低いペースだ。住宅ローンの伸びが、低調な所得の伸びを上回っている。最近発表された監督強化や融資基準強化が、負債上昇に伴うリスクへの対処につながるだろう。金融機関はまた、「インタレスト・オンリー(IO)」と呼ばれる金利のみを当初支払う住宅ローンの利用者や投資家を主に対象にして、住宅ローン金利の引き上げを発表した。
 低金利が豪経済を支援し続けている。入手可能な情報に基づき、金融政策を今回は維持することが、インフレ率の目標復帰や経済の持続的成長を促すと判断した。

 

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