オーストラリア中央銀行声明全文(2017年5月2日)

2017年5月2日

本日5/2(火)に行われたオーストラリア政策金利発表後のオーストラリア中央銀行声明全文です。(ロイターより転載)

政策理事会はきょうの会合で、政策金利のキャッシュレートを1.50%に据え置くことを決定した。

世界経済の状況は昨年から幅広く上向いている。労働市場は多くの国で一段とタイト化し、世界経済成長の見通しは上方修正されてきた。多くの先進国経済ではトレンドを上回るペースでの成長が見込まれるが、不透明感も残る。

中国ではインフラや不動産建設における支出拡大が成長を下支えしており、高水準の債務は引き続き中期的なリスクを示している。

世界経済の回復はコモディティー価格の上昇につながり、豪州の国民所得を大幅に押し上げる要因となっている。

豪州の交易条件は改善しているが、一部では逆の動きも見られる。

コモディティー価格の上昇も一因となり、インフレ率は大半の国で上昇している。コアインフレ率は依然として低水準だ。

長期債利回りも前年より上昇しているが、歴史的にみれば引き続き低水準となっている。米国の金利は上昇しており、他の主要国経済において追加緩和が実施される見込みはもはやない。金融市場は効果的に機能している。

RBAの豪経済見通しはほとんど変化していない。成長率は今後数年で緩やかに上昇し、3%を若干上回る水準に達することが予想される。豪経済は鉱業投資ブームが終わった後の移行が続いている。鉱業投資の減退がもたらした足かせは消えつつあり、資源輸出は上向いている。消費の伸びは引き続き控えめに推移し、所得とおおむね一致することが見込まれる。国内総生産(GDP)に占める非鉱業部門の投資は依然として低水準で、一段の上向きが望ましい。

労働市場の状態を示す指標は依然としてまちまちの内容だ。失業率はここ数カ月で若干上昇しているが、雇用の伸びはやや堅調に推移している。先行きに関するさまざまな指標は引き続き今後の雇用の継続的な伸びを示している。賃金の伸びは依然鈍く、当面の間はこうした状況が続く可能性がある。

見通しは引き続き低水準の金利に支援されている。

銀行は投資家向けと(利息のみの返済が可能な融資である)インタレストオンリー(IO)ローンを中心に住宅ローン金利の引き上げを発表した。

2013年以降の通貨安も、鉱業投資ブーム後の移行期の経済を支えている。通貨高はこの調整を複雑にする可能性がある。

第1・四半期のインフレ率は中銀の予想通り2%を上回った。基調インフレ率は1.75%前後で昨年よりもやや高水準だ。経済が勢いを増すにつれて基調インフレ率はさらに緩やかに上昇するとみられる。

住宅市場の状況は依然として地域によってかなりばらつきがある。価格が大幅に上昇している地域もあれば、下落している地域もある。東部の主要都市では今後数年、かなりの数の集合住宅の追加供給が計画されている。

家賃は20年ぶりの緩やかな伸びとなっている。家計の住宅ローン借り入れの増加ペースは、収入の鈍い伸びを上回っている。最近公表された規制当局の措置は、高水準の債務と債務増に伴うリスクへの対応に寄与するだろう。

入手可能な情報を考慮し、理事会は今回の会合で金融政策スタンスを維持することが、持続可能な経済成長およびインフレ目標の達成と整合的と判断した。