オーストラリア中央銀行声明全文(2019年10月1日)

2019年10月1日

本日10/1(火)に行われたオーストラリア政策金利発表後のオーストラリア中央銀行声明全文です。(ロイターより転載)

 政策理事会は本日、政策金利のオフィシャルキャッシュレートを1.00%から0.75%に引き下げることを決定した。
 世界経済の見通しは依然として妥当だが、リスクは下方に傾いている。不確実性の増大により企業が支出計画を縮小しており、米中の貿易と技術を巡る紛争が国際貿易の流れと投資に影響を与えてる。同時に、ほとんどの先進国で失業率は低く賃金の伸びは上昇しているが、インフレ率は低いままだ。中国では金融システムのリスクに引き続き取り組む一方で、当局は経済を支えるためのさらなる措置を講じている。
 金利は世界的に極めて低く、各国中央銀行は、世界経済の持続的な下振れリスクやインフレ抑制に対応するため、さらなる金融緩和を行うと広く予想されている。長期国債の利回りは、オーストラリアを含む多くの国で記録的な低水準にある。企業や家計の借入金利も歴史的な低水準にある。豪ドルは最近の最低水準にある。
 豪経済は第2・四半期、前年同期比1.4%成長し、予想を下回る結果だった。しかし、今年上半期の経済成長率は2018年下半期を若干上回っており、緩やかな転換点に達したようだ。低金利、最近の減税、インフラへの継続的な支出、一部の中古住宅市場の安定化の兆候、資源セクターの明るい見通しはすべて、成長を支援するはずだ。家計の可処分所得がごく小幅な増加にとどまる期間が長く続き、消費支出を圧迫し続ける中、主な国内の不確実要因は引き続き消費の見通しだ。
 雇用は力強い成長を続けており、労働力参加率は過去最高を記録している。しかし、失業率はここ数カ月、5.25%付近で横ばいとなっている。労働需要の先行指標は、雇用の伸びが最近の速いペースから鈍化する可能性が高いことを示している。賃金の伸びは依然として抑制されており、現在のところ上昇圧力はほとんど見られない。旺盛な労働需要は供給増によって満たされている。賃金上昇率が抑えられていることが全国の公共部門の賃金にも影響を及ぼしている。賃金のさらなる緩やかな上昇は歓迎すべき進展であろう。総合すると、最近の状況は、オーストラリア経済がより低い失業率と不完全就業率を維持できることを示唆している。
 インフレ圧力は依然として抑制されており、今後しばらく続く可能性が高い。総合インフレ率も基調インフレ率も2020年が2%弱、2021年は2%をやや上回る水準と予想されている。
 シドニーとメルボルンを中心に中古住宅市場で一段の回復の兆候が見られる。一方、住宅建設は弱まっており、住宅ローンの伸びも低水準にとどまっている。投資家の資金需要は抑制されており、中小企業を中心とした与信環境は引き続き厳しい状況にある。住宅ローン金利は記録的な低水準にあり、信用度の高い借り手を巡る競争が激化している。
 理事会は本日、雇用と所得の伸びを支え、インフレがいずれ中期目標に一致するとの信頼感を高めるため、政策金利をさらに引き下げる決定を行った。経済にはまだ余剰能力があり、金利の低下がその活用促進に役立つだろう。理事会はまた、世界的な金利低下傾向につながっている要因と、この傾向がオーストラリア経済とインフレに及ぼす影響を考慮に入れた。
 完全雇用とインフレ目標達成のためには、オーストラリアで長期にわたる低金利が必要になると予想するのが妥当だ。理事会は労働市場などの動向を引き続き監視し、経済の持続的成長と完全雇用、長期的なインフレ目標の達成を支えるために必要に応じて金融政策をさらに緩和する。

 

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