オーストラリア中央銀行声明全文(2017年3月7日)

2017年3月7日

本日3/7(火)に行われたオーストラリア政策金利発表後のオーストラリア中央銀行声明全文です。(時事通信より転載)

  理事会は本日の会合で、キャッシュレート(政策金利)を1.50%に据え置くことを決めた。
 世界経済は過去数カ月間、状況が改善した。企業および消費者の信頼感が上向いた。不透明感は残るが、複数の先進国でトレンド(長期平均)を上回る成長が見込める。中国では、不動産建設やインフラへの支出拡大に支えられている。ただ、借入金が増え、中期的なリスクになっている。世界経済の改善は、コモディティー(商品)価格上昇を後押し、豪国内総生産(GDP)拡大にもつながった。
 名目的なインフレ率は、商品価格高などを映し、多くの国で上昇した。長期金利も上昇。ただ歴史的に見れば、なお低水準にある。米国は利上げに動き、多くの主要国では追加緩和の可能性がなくなった。金融市場は効率的に機能しており、株価は総じて上昇した。
 豪州では、鉱業投資ブームの終わりを受け、移行が続いている。鉱業投資は昨年、2.5%増加した。昨年、輸出が大幅に増加し、非鉱業部門の投資も伸びた。多くの統計で、企業や消費者の信頼感指数は平均か、それを上回っている。消費の伸びは年末に向けて上向くだろう。ただ、家計収入の伸びは依然として低調だ。
 低金利が経済見通しを支えている。金融機関には貸し出す用意がある。2013年以降の豪ドル安も、資源投資ブームからの経済転換を支援している。豪ドル高はそうした調整を阻害する恐れがある。
 雇用市場の指標はまちまち。地域によってもばらつきが大きい。失業率は最近、若干上昇したが、フルタイム就業者数は16年遅く、プラス成長を記録した。先行指標も、雇用拡大を示唆している。
 インフレ率は引き続き低い。雇用コストの伸びは低調で、基調インフレ率は当面、低水準にとどまるだろう。名目インフレ率は17年中に(2~3%との中銀目標の下限である)2%を超えるだろうが、基調インフレ率の上昇はもっと緩やかになろう。
 住宅市場は、地域でばらつきが大きいが、総じて上昇している。一部の市場では価格上昇が顕著だが、下落している地域もある。東部を中心に、集合住宅の大量供給が今後数年に見込まれている。賃貸料の伸びは過去数十年で最も低いペースだ。規制強化で融資基準の厳格化につながっている面がある。
 入手可能な情報に基づき、金融政策を今回は維持することが、インフレ率の目標復帰や経済の持続的成長を促すと判断した。