オーストラリア中央銀行声明全文(2018年12月4日)

2018年12月4日

本日12/4(火)に行われたオーストラリア政策金利発表後のオーストラリア中央銀行声明全文です。(ロイターより転載)

 政策理事会は今日、政策金利のキャッシュレートを1.50%に据え置くことを決定した。

 世界経済は引き続き拡大しており、大半の先進国・地域の失業率は低水準だ。しかし世界貿易には減速の兆候がいくつかみられ、一部は貿易を巡る緊張から生じている。中国経済は小幅に減速し、当局は金融セクターのリスクに引き続き細心の注意を払いつつ、政策を緩和している。世界的にインフレ率は低水準にとどまっている。とはいえ、これより先の原油価格の上昇と賃金上昇の加速によりインフレ率は上昇した。引き締まった労働市場と米国の大規模な財政刺激を考慮すると、コアインフレ率の一段の上昇が見込まれる。

 先進国の金融状況は引き続き緩和的だが、幾分タイト化した。株価は下落し、信用スプレッドはやや拡大した。また米ドルは今年、幅広く上昇している。

 豪州では市場金利が年初の水準からいったん上昇したが、その後低下している。標準的な変動住宅ローン金利は数カ月前より若干高く、新規の住宅ローン金利は総じて既存ローン金利を下回っている。

 豪経済は順調に推移している。中心的なシナリオでは、今年と来年のGDP伸び率は平均で約3.5%で、2020年には資源輸出の伸びの鈍化により減速する。

 景況感は明るく、鉱業以外の設備投資は増加が見込まれる。公共インフラ投資の増加と資源輸出の伸びも経済を下支えしている。

 引き続き不透明要因の1つとなっているのは家計消費の見通しだ。家計所得の伸びは依然低水準で、債務の水準は高く、一部の資産価格は下落した。干ばつは一部の農業セクターの状況を厳しくした。

 豪州の交易条件は、ここ数年で改善して以前の予想を上回り、国民所得の押し上げにも寄与している。ただ、大半のコモディティー価格は最近下落しており、原油価格は大幅に下げている。

 豪ドルは貿易加重ベースで過去2年間のレンジ内にとどまっている。 労働市場の見通しは依然としてポジティブだ。失業率は5%で、6年ぶりの低水準となっている。経済は引き続きトレンドを上回って成長する見通しで、失業率は一段と低下する可能性が高い。求人率は高水準で、一部分野からは技術者不足が報告されている。労働市場は力強さを増しており、賃金の伸びが幾分上向いている。これは歓迎すべき動向だ。経済の改善によって賃金の伸びはいずれ、さらに幾分押し上げられるはずだが、これは依然として緩やかなプロセスとなる見通しだ。

 インフレ率は引き続き低水準で安定している。過去1年間の消費者物価指数(CPI)上昇率は1.9%、基調インフレ率は1.75%だった。インフレ率は今後数年間で上昇が見込まれ、上昇は緩やかになる可能性が高い。インフレ率は2019年は2.25%となり、翌年にはさらに小幅上昇するというのが中心的なシナリオだ。

 シドニーとメルボルンの住宅市場の状況は引き続き緩和し、家賃上昇率の全国的な指標も依然として低い。一部の貸し手の融資意欲が低下しており、一部の借り手向けの信用状況は、ここしばらくの状況に比べてタイトになっている。住宅市場の力学が変化する中、住宅市場の投資家の信用需要は著しく鈍化している。持ち家に住む人向けの信用の伸びは、年率5─6%のペースに鈍化している。住宅ローン金利は引き続き低水準で、信用度の高い借り手を巡る競争が最も激しくなっている。

 低水準の金利は引き続き豪経済を支援している。失業率のさらなる低下とインフレ率の目標水準への回帰が予想されている。ただ、そのペースは緩やかである可能性が高い。入手可能な情報を考慮した上で、理事会は今回の会合で金融政策スタンスを維持することが、持続可能な経済成長と、時間をかけたインフレ目標の達成と整合的と判断した。

 

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