オーストラリア中央銀行声明全文(2025年5月20日)

 

 

2025年5月20日

本日5/20(火)に行われたオーストラリア政策金利発表後のオーストラリア中央銀行声明全文です。(ロイターより転載)

理事会は本日、キャッシュレートの目標を25ベーシスポイント(bp)引き下げ3.85%にすることを決定した。

<インフレ緩和が継続>
 金利の上昇により総需要と総供給が均衡に近づき、インフレ率は2022年のピークから大幅に低下した。1─3月のインフレデータは、インフレが引き続き緩和していることをさらに裏付けた。トリム平均インフレ率は前年比2.9%と2021年以来初めて3%を下回り、総合インフレ率は2.4%で2─3%の目標レンジ内に収まった。本日発表したスタッフ予測では、総合インフレ率は一時的要因の解消に伴い今後1年間にレンジ上限付近まで上昇する可能性があるものの、基調インフレ率は予測期間の大部分において2─3%のレンジの中間点付近になると予想している。

<先行きは依然不透明>
 過去3カ月間に、世界経済の不確実性が高まり、金融市場のボラティリティーが一時的に大きく高まった。関税に関する最近の発表により金融市場は反発したが、関税の最終的な範囲や他国の政策対応については、まだかなりの不確実性が存在する。地政学的不確実性も顕著だ。これらの動向は、特に家計や企業が先行き見通しが明らかになるまで支出を遅らせた場合、世界経済活動に悪影響を及ぼすと予想される。これはまた、オーストラリアの成長、雇用、インフレの見通しの弱体化にも寄与している。とはいえ、世界貿易政策は急速に変化しており、中心的な予測はかなりの不確実性を伴っている。
 海外の動向を別にすれば、国内の民間需要は回復しつつあり、実質家計所得は上向き、一部金融ストレス指標にも緩和が見られる。ただ一部セクターの企業は引き続き、需要低迷によりコスト上昇を最終価格に転嫁するのが難しいと報告している。
 同時に、さまざまな指標は、労働市場の状況が依然としてタイトであることを示唆している。雇用は増加し続けており、労働力の未活用に関する指標は比較的低い水準にあり、企業調査や聞き取りからは、労働力の確保がさまざまな雇用主にとって依然として制約となっていることがうかがわれる。四半期ごとの変動を除けば、賃金上昇率はここ1年ほどで緩和しているものの、生産性の伸びは回復しておらず、単位労働コストの伸びが高止まりしている。
 国内経済活動とインフレの見通しには、国内外の動向に起因する不確実性がある。中心的な予測では、実質所得の増加に伴い家計消費も増加し続けると想定するが、最近のデータは、この回復が3カ月前の予想より若干鈍くなることを示唆する。消費の回復がさらに予想より鈍く、その結果、総需要の伸びが引き続き低迷し、労働市場が現在の予想より急激に悪化するリスクがある。また、さまざまな先行指標からのシグナルを考慮すれば、労働市場が予想以上に強いと判明する可能性もある。
より広範には、金融政策の効果の遅れや、企業の価格決定や賃金が需要環境と生産性の低迷にどのように反応するかについて不確実性がある。

<インフレの低位安定維持が優先事項>
 理事会は、インフレに関するリスクがより均衡したものになったと判断した。インフレは目標レンジ内にあり、国際情勢が経済に重しとなると予想されることから、上振れリスクは低下したと思われる。インフレが目標付近に留まると予想されることから、理事会は今回の会合で金融政策の緩和が適切だと判断した。理事会はこの措置により金融政策がやや緩和的になると評価している。しかし、特に総需要と総供給の両方に関する不確実性の高まりを考慮し、先行きについては引き続き慎重な姿勢を取る。理事会は深刻な下振れシナリオを検討し、国際情勢がオーストラリアの経済活動とインフレに重大な影響を与える場合、金融政策が断固として対応する態勢を整えていることに留意した。
 理事会はデータとリスク評価の進展に注意を払い、その判断を導く。その際、世界経済と金融市場の動向、内需の動向、インフレと労働市場の見通しに細心の注意を払う。理事会は物価安定と完全雇用の実現という責務に焦点を絞り、その達成に必要と考える措置を講じる。

 

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