2025年2月18日
本日2/18(火)に行われたオーストラリア政策金利発表後のオーストラリア中央銀行声明全文です。(ロイターより転載)
本日の理事会で、キャッシュレートの目標を4.10%に引き下げ、為替決済残高に支払われる金利も4%に引き下げることを決定した。
<基調的なインフレ率は鈍化>
金利の上昇が総需要と総供給をバランスに近づけたため、インフレ率は2022年のピークから大幅に低下した。12月の基調的なインフレ率は3.2%で、インフレ圧力が予想よりやや速く緩和していることを示唆している。また、民間需要の伸びも引き続き抑えられており、賃金圧力も緩和している。これらの要因は、インフレ率が2─3%の目標レンジの中間点に向かって持続的に推移しているという確信を理事会に与えている。
しかし、上振れリスクも残っている。最近の労働市場データの中には予想外に強いものもあり、労働市場が従来考えられていたよりも幾分タイトになっている可能性を示唆している。金融市場が示唆するキャッシュレートの経路に基づく基調的なインフレ率の中心予測は、26年にかけて少し上方修正された。そのため、本日の政策決定は、インフレに関する歓迎すべき進展を認識する一方で、理事会はさらなる政策緩和の見通しについては慎重な姿勢を崩していない。
<先行きは依然不透明>
生産の伸びは弱く、民間の内需の回復は当初の予想よりやや緩やかで、24年後半の家計支出の回復がどの程度持続するかについては不確実性がある。賃金圧力は予想よりやや緩和し、住宅費インフレは落ち着きつつあり、一部セクターの企業は引き続き、コスト上昇を最終価格に転嫁するのが難しいと報告している。
同時に、さまざまな指標は、労働市場の状況が依然としてタイトであることを示唆しており、実際、24年後半には、さらに少しタイトになった。労働力の過少活用に関する指標は低下し、企業調査や聞き取りは、労働力の確保がさまざまな雇用主にとって依然として制約となっていることを示唆している。さらに、生産性の伸びは回復しておらず、単位労働コストの伸びが高止まりしていることを示唆している。
国内経済活動とインフレの見通しには、顕著な不確実性がある。中心的な予測は、所得が増加するにつれて家計消費も増加するというものだ。しかし、消費の回復が予想より鈍く、その結果、生産の伸びが引き続き低迷し、労働市場が現在の予測より急激に悪化するリスクがある。あるいは、さまざまな先行指標からのシグナルを考慮すれば、労働市場が予想以上に強いと判明する可能性もある。
より広範には、金融政策の効果の遅れや、労働市場の逼迫が続くという状況で企業の価格決定や賃金が経済の成長鈍化や生産性の低迷にどのように反応するかについて不確実性がある。
海外経済の先行き不透明感もなお大きい。地政学的・政策的不確実性は顕著であり、家計や企業が先行きの見通しがはっきりするまで支出を遅らせれば、多くの国々の活動に影響を及ぼす可能性がある。ほとんどの中央銀行は、インフレ率がそれぞれの目標に向かって持続的に戻りつつあるとの確信を強め、金融緩和を進めてきた。しかし、追加緩和に対する市場の期待は、ここ数カ月、特に米国でやや弱まっている。
<インフレ率を持続的に目標に戻すことが優先課題>
理事会の優先事項はインフレ率を合理的な時間枠内で目標に戻すことだ。これは物価の安定と完全雇用という中銀の責務に合致する。これまでのところ、より長期的なインフレ期待はインフレ目標と整合的であり、この状態を維持することが重要だ。
理事会の評価は、金融政策は制約的であり、今回のキャッシュレート引き下げ後もそうあり続けるというものだ。インフレの上振れリスクの一部は緩和されたように見え、ディスインフレが当初の予想よりやや速く進行する兆しもある。とはいえ、リスクはどちらの方向にもある。
本日発表された予測によると、金融緩和が早すぎれば、ディスインフレが停滞し、インフレ率が目標レンジの中間値を超えて落ち着く可能性がある。理事会は、本日の決定で政策の制約を少し取り除くことで、進展があったことを認めつつも、先行きについては慎重に見ている。
理事会は引き続き、データとリスク評価の進展に依拠して決定を下す。その際、世界経済と金融市場の動向、内需の動向、インフレと労働市場の見通しに細心の注意を払う。理事会は、インフレ率を目標に戻すという断固とした決意に変わりはなく、その結果を達成するために必要なことを行う。