オーストラリア中央銀行声明全文(2024年12月10日)

 

 

2024年12月10日

本日12/10(火)に行われたオーストラリア政策金利発表後のオーストラリア中央銀行声明全文です。(ロイターより転載)

 本日の理事会で、キャッシュレートの目標を4.35%に据え置くことを決定した。為替決済残高に支払われる金利も4.25%で据え置く。

<基調的なインフレ率は依然高すぎる>
金利上昇により総需要と総供給が均衡に近づいたため、インフレ率は2022年のピークから大幅に低下した。基調的なインフレ率は3.5%前後で、インフレ目標の中間値である2.5%にはまだ程遠い。
11月の金融政策報告(SMP)で示された最新の予測では、インフレ率が目標の中間値まで持続的に戻るのは26年以降の見通しだ。インフレ圧力が予測に沿って低下しているとの一定の確信が得られつつあるが、リスクは残る。

<先行きは依然として不透明>
基調インフレ率が高止まりする一方で、経済活動に関する他の最近のデータはまちまちだ。ただ、全体として11月の予想よりも弱い。
生産の伸びは鈍い。第3・四半期の実質国内総生産(GDP)は前年比の伸びが0.8%にとどまった。これは新型コロナの流行時を除けば、1990年代初頭以来の低い成長率だ。これまでの実質可処分所得の減少と現在も続く制限的な金融情勢の影響が、引き続き個人消費、特に裁量的消費の重荷となっている。
労働市場の状況は緩やかに緩和しているものの、依然として引き締まっていることをさまざまな指標が示している。いくつかの指標は最近安定した。
失業率は10月に4.1%と、22年終盤の3.5%から上昇した。とはいえ、雇用は8─10月に力強く伸び、労働参加率は過去最高水準付近にとどまり、求人数はなお比較的高水準であり、平均労働時間は安定している。同時に、若年失業率や不完全雇用など、労働市場の一部の循環的な指標は最近低下している。
11月のSMPでは賃金圧力が予想以上に和らいだ。賃金価格指数で測定される賃金上昇率は、第3・四半期に前年同期比3.5%と前四半期から低下したが、労働生産性の伸びは依然として弱い。
最近のデータを踏まえ、理事会は政策が現在制約的であり、ほぼ予想通りに機能していると評価する。インフレに対する上振れリスクは一部緩和したもようで、総需要の水準は依然として経済の供給能力を上回っているようだが、そのギャップは縮小し続けている。
所得の伸びが拡大するにつれて家計消費の伸びが高まるというのが中心的な予測だ。第3・四半期のデータでは、所得と消費の回復がいずれも予想よりもやや遅いことが示されたが、最近の情報は10月と11月に消費が回復したことを示唆している。
消費の回復が予想より鈍く、生産の伸びは低迷が続き、労働市場の悪化がより鮮明になるというリスクが存在する。より広範には、金融政策の効果の遅れや、需要過剰で労働市場の逼迫が続くという状況で企業の価格決定や賃金が経済の成長鈍化や生産性の低迷にどのように反応するかについて不確実性がある。
海外の見通しついても引き続き不透明感が強い。ほとんどの中央銀行は、インフレ率がそれぞれの目標に向かって持続的に戻りつつあるとの確信を強めたため、金融政策を緩和した。しかし、引き締め度合いを緩和しているに過ぎず、労働市場の軟化とインフレの高まりという両方のリスクをなお警戒している。地政学的な不確実性は依然として高い。

<インフレ率を目標に戻すことが優先課題>
理事会の優先事項はインフレ率を合理的な時間枠内で目標に戻すことだ。これは物価の安定と完全雇用という中銀の責務に合致する。これまでのところ、より長期的なインフレ期待はインフレ目標と整合的であり、この状態を維持することが重要だ。
総合インフレ率は大幅に低下し、しばらくは低水準が続くだろうが、基調的なインフレ率は物価上昇の勢いを示すものであり、依然として高過ぎる。11月SMPで示した予測では、インフレ率が持続的に目標範囲に入り、中間値に近づくまでにはまだ時間がかかることが示されている。インフレと経済状況に関する最近のデータは依然としてこれらの予測と整合的で、理事会はインフレ率が目標に向かって持続的に推移しているという一定の確信を持ちつつある。
理事会は引き続き、データおよびリスク評価の進展を判断の指針としていく。その際、世界経済と金融市場の動向、内需の動向、インフレと労働市場の見通しに細心の注意を払う。理事会は、インフレ率を目標に戻すという断固とした決意に変わりはなく、その結果を達成するために必要なことを行う。

 

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